那覇の慢性渋滞 ゆいレール延伸で緩和なるか? カギは新しい「てだこ浦西駅」と3両化
増便のほか3両編成化も計画 輸送力を強化するゆいレール
さらに、駅前をレンタカーの発着拠点にする構想もあります。これが実現すれば、那覇空港に降り立った観光客がてだこ浦西駅までゆいレールで移動し、そこでクルマを借りる利用方法が考えられます。これにより、美ら海水族館をはじめ県北部を訪れたい観光客は、渋滞する那覇市内をクルマで移動する必要がなくなります。
ただ、こうした流れが加速すれば、懸念される点も浮上してきます。
沖縄県を訪れる観光客数は、今後も増え続けると見られています。2020年3月には那覇空港第2滑走路の供用が始まり、ゆいレールも春から「Suica」をはじめとする交通系ICカードが使えるようになります。
こうして観光客が増え続け、また通勤利用者の足がゆいレールに集約されるとなると、懸念されるのはその輸送能力です。ゆいレールの利用者は増え続けており、開業年の2003年度の1日平均利用者数は3万1905人でしたが、2019年度は5万7848人(1月末時点)と、約1.8倍になっています。
ゆいレールの列車は2両編成で、朝ラッシュ時は4分間隔で運転されますが、混雑率は2020年2月時点で約120%となっています。日中は10分間隔だった運行本数も、てだこ浦西駅への延伸後は8分間隔に増便されました。しかしそれでも、筆者が休日の日中に利用したところ、市中心部では乗車率が100%あるほどの混雑でした。
こうした現状を受け、ゆいレールは2022年度からの一部3両編成化を計画しています。2027年度までに9本を3両編成化し、増え続ける利用者に対応する予定です。
ゆいレールをめぐっては開業前、鉄道がなくクルマ社会の沖縄県にモノレールが根付くのか、などといった懐疑的な声がありました。2003年の開業から17年、ゆいレールは当初の予想を上回る勢いで利用者数が増え続けています。2014(平成26)年からはQRコードを用いた乗車券をいち早く導入しています。
延伸区間の沿線の発展とともに、ゆいレールの動向を注視したいところです。
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Writer: 河嶌太郎(ジャーナリスト)
1984年生まれ。千葉県市川市出身。『週刊朝日』『AERA』などの雑誌のほか、「Yahoo!ニュース個人」「AERA dot.」「DANRO」「ITmedia」などのウェブで執筆。アニメを用いた地域振興からゲーム、IT、鉄道など幅広い分野を扱う。国内の鉄道路線の乗り潰しが趣味だが、災害による不通路線を残したまま数年が経過中。
車両費や変電所増強費用も含んでいるのかも知れませんが、一説に3両編成化に百億円を要するとか。インフラが2両対応でしかなかったことは大きな手戻りであったと言わざるを得ません。
那覇から名護までJRを開通すべきです。