2階建ての東海道線215系 少ない活躍のワケ 快速アクティーからも消え その功績と教訓

ネックになった乗降時間 役割はライナーや臨時列車のみに

 当時運行していた211系は、1300mm幅のドアが1両当たり片側3か所ついていましたが、215系は1000mm幅のドアが片側2か所。一度に乗り降りできる人数が1両当たり9人から4人に減少してしまいました。そのため乗降時間が大幅に伸びてしまい、行楽客で混雑する快速アクティーをはじめとした列車では、遅延が頻発しました。

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215系の車内。座席は定員増加を目的とした1460mmピッチのボックスシート(2020年6月、乗りものニュース編集部撮影)。

 2001(平成13)年からは湘南新宿ラインに投入されましたが、こちらも2004(平成16)年で撤退。その後は平日のライナー運用のみとなり、休日は中央本線の臨時列車「ホリデー快速ビューやまなし」に使われる程度となってしまいました。

 215系の利点は座席が多いこと。一方で欠点は乗降時間がかかることです。ライナーはグリーン車を除いて立席の設定がないため1駅当たりの乗車人数が少なく、都心駅では降車のみ、郊外駅では乗車のみという利用形態です。そのため車内動線の乱れもなく、215系の欠点はそれほど顕在化しません。しかし、駅ごとに乗り降りが発生する普通や快速列車では、少ないドアと狭い通路を行き来する乗客で乗り降りに時間がかかってしまい、ダイヤ乱れの原因となりました。

 結果として215系は、乗降時間に大きな影響を与えないライナー列車や臨時列車といった役割に限定されてしまいました。また、ライナーとして走る車両もほかの特急形車両を有効活用することで対応したため、215系は10両編成4本の製造にとどまりました。

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