防御力あえて低く? 「屋根なし自走砲」の大きなメリットとは 密閉式とは設計思想が違う

戦闘車両には攻撃力、機動力とともに防御力も求められます。それならば自走できる野砲、すなわち自走砲も装甲で覆われていた方が防御力に優れるように思えますが、運用思想の観点から、あえて防御力を低くした車両があります。

オープントップ自走砲ゆえのメリットもあり

 全高の低さや車重の軽さは、運びやすいというメリットにつながります。そもそも19式装輪自走砲は緊急展開能力を高めるために開発された経緯があります。装輪式、いわゆるタイヤ駆動のため、トラックなどの普通車と同じように一般道を走ることができ、高速道路も100km/hで長時間走り続けられます。

 一方、99式自走砲や203mm自走砲は、100km/hものスピードを出すことは不可能であり、なおかつ長距離移動時にはトレーラーに載せる必要があります。

 また19式装輪自走砲は、前出のとおり全高が低く車体重量が25t以下のため、航空自衛隊のC-2輸送機で運ぶことができます。その点で99式自走砲にはないメリットを持っているといえるでしょう。

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国産開発の99式自走155mmりゅう弾砲(柘植優介撮影)。

 ちなみに、実は203mm自走りゅう弾砲も同様の運用思想のもと開発されています。203mm自走りゅう弾砲は1950年代後半にアメリカで開発されたものですが、設計コンセプトのなかに大型輸送機で空輸可能というのが盛り込まれていたため、大口径砲を搭載しつつも、全高を抑えるためにオープントップとされ、車体は非常にコンパクトにまとめられました。

 このように設計思想が異なるため、同じ自走砲といいながら、片や完全密閉砲塔を装備し、もう一方はオープントップなのです。もちろん費用面も後者のほうが安価で、調達コストを抑制するためにオープントップにするという理由もあります。

【了】

【写真】これから配備が本格化 C-2輸送機でも運べる19式装輪自走155mmりゅう弾砲

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子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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