主翼曲げれば万事解決!「逆ガルウィング」戦闘機F4U「コルセア」なぜ傑作機になったか

不具合発生で並行開発のライバル機に一歩出遅れ

 機体は、全体的にきわめて堅牢なフレーム(骨格)が用いられており、戦闘重量で7.5Gという大きな制限荷重を得ることができました。これは同時期に使用されたグラマン社製の艦上戦闘機F6F「ヘルキャット」の6.5Gよりも大きく、高速時や急降下時の急激な機動にも十分に耐えられるということを示しています。

 ところが、V-166B(XF4U-1)の開発を進めていくうち、新しいエンジンと画期的な構造に起因する、様々な改善点が生じるようになりました。

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1951年7月、朝鮮戦争においてアメリカ海軍の空母「ボクサー」から発艦するF4U-4「コルセア」戦闘機。F4Uはその逆ガル翼にちなんで「Bent-Wing Bird」とも呼ばれた(画像:アメリカ海軍)。

 まず、新しいエンジンである「ダブルワスプ」の初期不良の改善は不可欠でした。さらに、エンジン周りの不調による潤滑油漏れや前方視界の不良などといった問題も起こります。その結果、艦上戦闘機として開発されたにもかかわらず、そのような運用には不適当という烙印を押されてしまうほどでした。

 実は海軍では、V-166B(XF4U-1)の開発と並行して、グラマンF6F「ヘルキャット」の開発も進めていました。これはV-166B(XF4U-1)の開発が失敗した際のリスクヘッジ(危機回避)策としての役割があったからです。そのため、F6Fは革新性をあまり追求せず、既存技術の延長線上で設計開発されていました。

 しかも、F6FはF4Uと同じダブルワスプを搭載しているにもかかわらず、先行していたF4Uの開発でのトラブルシューティングがフィードバックされたことで、大きなエンジン・トラブルに見舞われることもなく順調に開発が進んでいました。その結果、F6Fは主脚の強度がやや弱いだけで、空母での運用にも問題がなかったため、不具合の改善に手間取るF4Uを尻目に、先行して空母で運用されることになったのです。

【写真】生産数たった10機!「スーパーコルセア」

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コメント

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1件のコメント

  1. 逆ガル翼に関しては各国で試作されF4U以外全て失敗作となっています。(零戦の堀越二郎氏スピットファイアのミッチェル氏も失敗しています。)F4Uが最終的に成功作となったのは、右翼の折れ曲がり部分に乱流発生用の突起物を追加して失速を穏やかにしたからです。逆ガル翼は生産性の面でも不利でデメリットの方が多かったと言えるでしょう。