主翼曲げれば万事解決!「逆ガルウィング」戦闘機F4U「コルセア」なぜ傑作機になったか

アメリカの艦上戦闘機として最多の生産数を誇るのがF4U「コルセア」です。本機は第2次大戦勃発前に開発され、運用終了は大戦終結から34年も経った1979年のこと。しかし、誕生当初は艦上機なのに肝心の空母で運用できない“駄作機”でした。

不具合発生で並行開発のライバル機に一歩出遅れ

 機体は、全体的にきわめて堅牢なフレーム(骨格)が用いられており、戦闘重量で7.5Gという大きな制限荷重を得ることができました。これは同時期に使用されたグラマン社製の艦上戦闘機F6F「ヘルキャット」の6.5Gよりも大きく、高速時や急降下時の急激な機動にも十分に耐えられるということを示しています。

 ところが、V-166B(XF4U-1)の開発を進めていくうち、新しいエンジンと画期的な構造に起因する、様々な改善点が生じるようになりました。

Large 20210530 01
1951年7月、朝鮮戦争においてアメリカ海軍の空母「ボクサー」から発艦するF4U-4「コルセア」戦闘機。F4Uはその逆ガル翼にちなんで「Bent-Wing Bird」とも呼ばれた(画像:アメリカ海軍)。

 まず、新しいエンジンである「ダブルワスプ」の初期不良の改善は不可欠でした。さらに、エンジン周りの不調による潤滑油漏れや前方視界の不良などといった問題も起こります。その結果、艦上戦闘機として開発されたにもかかわらず、そのような運用には不適当という烙印を押されてしまうほどでした。

 実は海軍では、V-166B(XF4U-1)の開発と並行して、グラマンF6F「ヘルキャット」の開発も進めていました。これはV-166B(XF4U-1)の開発が失敗した際のリスクヘッジ(危機回避)策としての役割があったからです。そのため、F6Fは革新性をあまり追求せず、既存技術の延長線上で設計開発されていました。

 しかも、F6FはF4Uと同じダブルワスプを搭載しているにもかかわらず、先行していたF4Uの開発でのトラブルシューティングがフィードバックされたことで、大きなエンジン・トラブルに見舞われることもなく順調に開発が進んでいました。その結果、F6Fは主脚の強度がやや弱いだけで、空母での運用にも問題がなかったため、不具合の改善に手間取るF4Uを尻目に、先行して空母で運用されることになったのです。

【写真】生産数たった10機!「スーパーコルセア」

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 逆ガル翼に関しては各国で試作されF4U以外全て失敗作となっています。(零戦の堀越二郎氏スピットファイアのミッチェル氏も失敗しています。)F4Uが最終的に成功作となったのは、右翼の折れ曲がり部分に乱流発生用の突起物を追加して失速を穏やかにしたからです。逆ガル翼は生産性の面でも不利でデメリットの方が多かったと言えるでしょう。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス