E4系「Max」最大の特徴? 激セマ6列席誕生の背景 マンモス車両の中身も革新的だった!
まもなく引退を迎えるオール2階建て新幹線E4系「Max」。初めは東北新幹線で使われ、今は上越新幹線を走ります。目玉は2階の普通車自由席の6列席。一部の通勤電車よりも狭いものですが、なぜこのような座席になったのでしょうか。
通勤電車のロングシートより狭い
2021年10月の引退が発表されている、上越新幹線のオール2階建て車両E4系「Max」。さまざまなグッズが発売されたりツアーが企画されたりと盛り上がりを見せていますが、「Max」といえば2階自由席の6列席を忘れるわけにはいきません。
JR在来線の電車よりも約50cm広い車体幅を活かし、通路を挟んで3列ずつ並んだ2階自由席。とはいえ、新幹線の広い室内空間をもってしても窓側・通路側の座席幅が430mm、やや広い中央席が450mmとなっています。通勤電車のロングシートが1人あたり450~470mmで設計されている現代の水準から見ると、かなり狭いといわざるを得ません。
しかし、これでも初代「Max」E1系の6列席より10mm拡大されました。この10mmを稼ぐために、E4系の座席は工夫されており、座席単体で見ればとても考え抜かれた素晴らしい設計なのです。
最大の特徴は通路側以外にひじ掛けがない点。これらのひじ掛けを省略することで30mmの余裕を稼いでいます。また座席を回転する際、通路側のひじ掛けは台座に固定され動かず、座席だけが回転する仕組みになっているうえ、座席回転の邪魔にならないようひじ掛けは内側をへこませています。
しかし、座り心地のよさとなると、また別の問題です。リクライニングもしないなど、ほかの座席に比べサービス面では一歩譲るのが正直なところ。しかし、東北・上越新幹線では無理をおしてでも「Max」の輸送力が必要でした。
快適さよりも収容人数の多さ。普通なら不便だろうけどそれでも利用される(せざるをえない)のが関東の常識。それも今は少子高齢化、都心回帰で遠方からの通勤客も減り、収容人数よりも快適さにシフトしてきたという、時代の流れを感じる。
最近の通勤車には座った人の快適さを追求するあまり「座れなかった人」を徒に増やしてしまうヘンな設計が増えているので、このようなエピソードは貴重ですね。