E4系「Max」最大の特徴? 激セマ6列席誕生の背景 マンモス車両の中身も革新的だった!
短命に終わった「Maxあさま」
ハイシーズンの軽井沢は観光客でたいへん混雑していたので、E4系の輸送力に期待したくなりますが、「Maxあさま」は軽井沢発東京行きのみで東京発の設定はありませんでした。これは、E4系の車両性能と安中榛名~軽井沢間の碓氷峠が関係しています。
碓氷峠は30‰(1km進むと30m上る坂)という急勾配が30kmにわたって続く区間で、かつての在来線同様、新幹線でも異例の難所です。同区間を走るE2系は8両編成中6両をモーター車にして、1tあたり19.7kWという大馬力で登坂していきますが、それでも安中榛名駅を勢いをつけ260km/hで通過しても、峠を上り切るころには170km/hほどにまで速度が落ちてしまいます。
対するE4系はモーター出力こそE2系より高いものの、モーター車が8両編成中4両しかなく、さらに2階建てゆえに車体も重いため、1t当たりの出力は15.7kW。加えて乗客817名の重さが加わることでさらに負荷が大きくなり、性能的に峠越えは困難でした。
そこでE4系は、東京発軽井沢行きを回送とし、軽井沢発東京行きの上りのみ旅客を乗せて運転しました。しかし効率が悪かったのか、わずか2年で運転を終了しています。
6列席による輸送力が期待されながらも、峠に阻まれその輸送力があだとなってしまった点は不運といえるでしょう。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
快適さよりも収容人数の多さ。普通なら不便だろうけどそれでも利用される(せざるをえない)のが関東の常識。それも今は少子高齢化、都心回帰で遠方からの通勤客も減り、収容人数よりも快適さにシフトしてきたという、時代の流れを感じる。
最近の通勤車には座った人の快適さを追求するあまり「座れなかった人」を徒に増やしてしまうヘンな設計が増えているので、このようなエピソードは貴重ですね。