「東武線→新横浜直通」に勝機はあるか 東急新横浜線めぐる判断 西武は名より実をとる?

「Fライナー」「TY特急」新横浜へ行くのは…

 つまるところ、東海道新幹線の利用を想定した東上線から新横浜直通のメリットは、乗り換え不要ということくらいです。従来の乗り換えも池袋で1回だけなのですが、新幹線利用時はたくさんの荷物を抱えているケースが多いので、1回でも乗り換えが減るのは大きな利点とも言えます。また東海道新幹線まで1本でつながるというのは(実際に使うかどうかは別として)沿線価値に大きなインパクトを与えます。東武はこうした効果を重視した形です。

Large 220203 shinyo 02

拡大画像

東急東横線内を走る「Fライナー」(左)。車両は東京メトロ副都心線の10000系電車(画像:写真AC)。

 西武はどうでしょうか。西武線沿線からの所要時間、運賃・料金を計算しても同じような結果になるため、アドバンテージがなく競争力に欠けるとの判断でしょう。それでも新横浜を利用する場合は武蔵小杉などで対面乗り換えが可能なので、実質的には1本で行けるようなものです。西武は名より実をとったということでしょう。

 西武は土休日に限り、東横線・みなとみらい線直通の座席指定列車「S-Train」を運転するなど横浜との結びつきを重視しています。一方2022年3月のダイヤ改正で、日中の東京メトロ有楽町線直通列車を毎時2本削減するなど、地下鉄直通列車の輸送力を見直しており、限られた運行本数を振り向けるほどのニーズはないとの判断とも考えられます。

 ただ、東上線との直通も簡単なものではありません。東武と東急をつなぐ副都心線は日中、東武と西武からそれぞれ30分ごとに「Fライナー」が乗り入れており、これらが東横線内で毎時4本の特急列車となります。

 2016(平成28)年に命名された「Fライナー」は種別と発車時刻を固定した分かりやすい列車として定着しており、西武が話すように横浜方面の利用者の方が多いことからしても、この一部を新横浜線に振り向けるのは困難です。東急も「東横特急」の看板は下ろせないでしょう。

 しかし新幹線駅アクセス列車という性質上、速達性を確保する必要があり、東上線内を優等運転したとしても副都心線内各駅停車では乗り入れる意味がありません。ですが副都心線内急行列車を増発するとなればダイヤを大幅に変える必要があります。

 この難題を各社はどう解決するのでしょう。それぞれが社運をかけた大規模乗り入れ、形だけのものに終わるはずがありません。期待しながら見守りましょう。

【了】

【既に顔合わせ】東急の車両基地に停車する相鉄の電車

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. 朝7時頃に新幹線リレー号として森林公園発で海老名着9時か10時頃折り返し川越特急として12時頃森林公園着。
    夜は16時頃森林公園発の川越特急で海老名着折り返し19時頃発で新幹線リレー号森林公園着の列車があれば良さそうな感じはありますね。
    夏の間臨時列車とかで湘南台行くと江ノ島需要もありな気がします。
    Sトレイン並みの価格帯ならば運賃計算上は海老名から先小田原箱根の需要も取り込めそうな感じもしますね。

  2. 東急新横浜駅の乗降場は地下4階、新幹線新横浜駅のそれは地平レベルよりさらに上にあるが。

    • 確かに地下4階だと通常のコンコース経由の乗り換えよりかかりそうですが、地下3階にホームがある押上駅からソラマチまで行く方多いですし、六本木駅から六本木ヒルズまでが8分くらい(Googleマップ調べ)よりは乗り換え時間かからないのかなと思いましたがどこまで需要が生まれるでしょうか。三田線なら大手町の方が近いので三田線需要は少ない感じはしますね。

  3. 川越市民です。仮に川越駅から東海道新幹線で新大阪以西に向かう際は、いつもJRで大宮経由で東京駅を使用しています。
    理由は2つ。
    1つ目は本文でも書かれている通り、余裕を持って乗車するためで、特に自由席の場合は東京駅からは必ず座れるので東京駅を使用します。
    2つ目は往復割引の運賃になります。川越から大阪市内の往復乗車券を購入した場合、基準駅となる大阪駅まで602kmと、600kmを超えているため往復割引が適用されます。自由席利用の場合往復27,540円。これは東上線池袋経由で山手線で品川駅に出る往復乗車の28,700円よりも1,160円も安価になります。乗り換えの回数も同じ、スマートEXは新幹線乗車駅までは別料金なのでそれよりも断然安くなります。唯一のデメリットは所要時間ですが、10分〜15分ほど多いものの、そもそもが大きい移動ですので、そこまで気になりません。切符も当日券売機で買えます。