「ズレてもホームドア開けます」京王線の車内に刃物男の“事件”再現訓練 課題も浮上

フルスクリーン型のホームドアでも開ける

 ここでひとつ課題が生じます。負傷者を車内で担架に乗せたものの、ホームドアが障害となり、ストレッチャーが入れません。救急隊長が仲間に協力を呼びかけ、大人数で担ぎ上げてホーム上に退避させました。

 犯人の制圧、乗客の誘導、負傷者の救護、放火現場の鎮圧。これにて全ての訓練は終了しました。

 一連の動静について、京王電鉄の寺田雄一郎常務執行役員は「有意義な訓練ができました。今回は『乗務員の判断で』列車を止めることを確認しましたが、『日本一安全な鉄道』を目指し、身を引き締めて安全・安心を心掛けてまいりたいと思います」と話しました。そして前回の反省点を「状況を迅速に把握できず情報がとれなかったこと」とし、情報のスムーズな伝達と共有に努めるとしています。

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緊急停車のため、列車はホームドアの開口位置とズレている。ここをストレッチャーや車いすが通るのは困難だ(2022年4月21日、大藤碩哉撮影)。

 なお、訓練では担架の負傷者を人力で車外へ退避させましたが、同様の事案は車いす利用者などにも当てはまります。寺田常務は「今後も訓練などを通じ、様々なケーズを想定したい」と話します。また、避難の上で障害になり得るホームドアについては、例えフルスクリーン型のドアであっても、同じ手順で開けるとしています。

 ちなみに京王電鉄は昨2021年11月、業務組織を一部変更し、鉄道事業本部安全推進部内に「鉄道テロ・災害対策担当」を新設しています。10月末に列車内で発生した傷害事件の検証に加え、前例のない無差別テロや傷害、放火などへの迅速な対応、近年リスクが高まっている激甚災害への対応強化が目的です。

【了】

【写真で見る】響く怒声 暴れる刃物男 「車内暴漢対処訓練」の様子

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コメント

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4件のコメント

  1. 素晴らしいの一言につきます。
    最大の問題である「車掌が把握できない状況では避難に時間を要する」という点の対処ができるようになりました。
    車内放送で車掌が異常事態を検出していることがわかれば、乗客もドアコック操作などで自力救済を試みなくなり、ひいては全体の避難が円滑になります。
    事件自体は暴漢によるものでしたが、車両火災を検出する方法が無い中で、乗客からの聞き取りができない場合の対応が定められていなかったことが問題の本質であったと思います。

    暴漢対応だけに留まらずきちんと問題点を深掘りする安全文化が京王にも警視庁にも根付いているのだと思います。

  2. 日本一安全な鉄道を目指す必要は無いと思う。私の主観だが、他路線は存じ上げないが、京王は性善説で成り立っていると感じている。その前提であらば、ホームドア設置は推進して欲しいけど、犯罪対策というか人災対策は鉄道会社がやらねばならぬとは思えないし、その責を負わねばならないとも思えない。

  3. 記事の本筋からそれましてすいません。
    駅名「多摩霊園」は正しくは「多磨霊園」です。麻の下の字は手では無く石です。
    駅名となっている都立多磨霊園は、当時の北多摩郡多磨村に開設された公園墓地、ということです。

    • ご指摘ありがとうございます。
      修正いたしました。