国鉄型103系なぜ西日本で未だ現役? まもなく登場60年 東日本はとっくに消滅

廃車になった奈良線103系の正体

 これに対し西日本では、2022年7月現在も103系が活躍する姿が見られます。JR九州では比較的新しい車両が筑肥線で使用されているほか、JR西日本では山陽本線の支線である和田岬線をはじめ、加古川線や播但線では改造車が使用されています。かつては東海道・山陽本線(JR京都線、JR神戸線)、阪和線、大阪環状線、片町線(学研都市線)なども走っていました。

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播但線の103系はすべて、改造車が占める(柴田東吾撮影)。

 今回、奈良線から引退した103系は、先頭車が山手線から転用された車両としても知られています。103系は増備過程で冷房付きとなりましたが、冷房付きの車両は混雑の激しい路線に優先して投入され、首都圏では中央線快速と山手線、関西では大阪環状線が該当しました。

 次いで、山手線や京浜東北線では保安装置にATC(自動列車制御装置)を導入して安全性を高めることになり、103系もこれに準じて製造されました。この結果、ATCに対応していない先頭車や冷房のない103系が他の路線に転用され、一部が関東から関西に転出したのです。奈良線で引退した元山手線の先頭車は冷房付で登場したものの、ATCには対応していなかったので、山手線での使用は短期間で終了しています。

 さて、最多の両数を継承したJR東日本ではとうに引退しているのに、JR西日本では現役なのはなぜでしょうか。それは各社で、車両を維持する考えに違いがあったからです。

【写真】JR東日本で最後まで残った103系とは

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コメント

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1件のコメント

  1. 103系は同時代の他社車と比べると時代遅れで非エコ設計だったので、少なくとも半分はJR西のは経営誤判断が原因じゃないの。
    赤字路線にシビアにならざるを得ない一因にもなってる以上、単純に方針の差とだけ記すのは少々無責任な感じがするね。