フリーゲージトレインまだやるの? JRも拒否した30年払拭できぬデメリット 計画は存在
近鉄橿原線や蒲蒲線での実現可能性は
また、運行側のJR九州も「車両関連費が通常車両の2倍かかり、年間50億円の負担増では採算性に問題がある」として、フリーゲージトレインの受け入れを拒否しました。ここに、長崎~博多間の新在直通列車の計画は潰えたのでした。
もし実用化されたなら、北陸新幹線の敦賀開業時に、大阪方面から金沢方面への直通電車としての活用も検討されていましたが、2018(平成30)年にそれも断念されました。結果的にフリーゲージトレインには、「軌間変更に5分かかる(5分あれば乗り換えられる)」「新幹線区間で270km/hしか出せず山陽新幹線に乗り入れられない」「台車の摩耗が激しく、メンテナンスコストが通常の2倍」といった大きな問題が残っていたのです。
「カタラン・タルゴ」と異なり、新幹線は全ての台車にモーターがあり、軌間変換装置を設置する余地が少ないことも、実用化を阻みました。「カタラン・タルゴ」は1668mm⇔1435mmと15%の軌間幅を変換するだけですが、新幹線の1435mm⇔在来線の1067mmは26%の幅を変換することになり、それだけ無理な構造ということもあります。
なお、中国は高速鉄道での軌間変換技術を開発したと主張していますが、これは1524mm⇔1435mmと6%の軌間変更であるとともに、元々の軌間が広いため、軌間変更機器を配置しやすいことが要因のようです。
日本でのフリーゲージトレインは、近畿日本鉄道が京都・橿原線と吉野線の直通運転で、東京圏では計画中の蒲蒲線でも導入が検討されています。困難を極める実用化ですが、新幹線ほどの高速走行を行わない条件下では、ハードルが下がるとも考えられます。今後の研究開発に期待したいところです。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
中国に出来て日本は出来ないんですね
海外で実用性が確率してるのは「モータ無し」ののみで、超高速走行の無いのだったら3線軌道化の方が有力。
ただそうなったのも台車回りのダイエットが極限近くに達してたからで、現状のシステムが汎用性に劣ってたのが真実ではないか。
Talgo250は動力車も軌間可変ですね。
>フリーゲージトレインには、「軌間変更に5分かかる(5分あれば乗り換えられる)」「新幹線区間で270km/hしか出せず山陽新幹線に乗り入れられない」「台車の摩耗が激しく、メンテナンスコストが通常の2倍」といった大きな問題が残っていたのです。
それほど大きな問題には見えません。誇張しすぎでしょう。
まず、メンテナンスコストに関しては国の約束違いということでこのコストの一部を負担するという筋書きを作ればなんとかなるような気がします。
山陽新幹線に乗り入れられなくても、博多まで行くことができればリレーの現状に比べればはるかにいいでしょう。博多での同一ホーム乗り換えができれば、京都や名古屋からの移動も楽になるでしょうし。
軌間変更の5分に至っては問題とすら思えません。現時点で5分であれば営業時にはもっと短縮できるでしょう。
これはやる気の無さが第一だ。が、なぜやる気が出ないのかが問題。フリーゲージにすると利権にありつけない面々がいると考えるのが自然。そのために多くの税金が失われていく、のかもしれない。知事さんたち頑張って。