夜行バスvs50年前の夜行列車 東京発でどっちが速い? 「バスタ新宿は昔の上野駅」
昼行なら高速バスに軍配が上がる地域も
では新幹線が各方面へと伸びた現在、高速バスの方が鉄道利用より速い路線は存在するでしょうか。夜行高速バスでは市販の時刻表を見る限り見当たりませんが、昼行の高速バスでは以下の路線などが挙げられます。
・館山(千葉県)←東京駅八重洲南口から1時間50分(JRでは東京駅から2時間35分)
・飯田(長野県)←バスタ新宿から4時間4分(JRでは新宿駅から4時間41分)
・鹿島神宮(茨城県)←東京駅八重洲南口から2時間(JRでは東京駅から2時間23分)
館山へは、高速バスが東京湾を横断するアクアラインを通ることに加え、平日のJR内房線では館山までの特急が廃止されたため、所要時間に圧倒的な差が生じています。
車内での快適さも、リクライニングシートや3列座席車の存在により、夜行高速バスの方が夜行急行列車(4人掛けボックスシート)より数段勝ると感じる人が多いのではないでしょうか。筆者はノスタルジーもあるせいか、車内を気兼ねなく歩けたり、対面して座る人と時には会話がはずんだりした夜行急行列車の方が、居心地が良かったと感じますが。
また、乗り換えなしで行ける都市が多い点も夜行高速バスの優れている点です。たとえば鉄道を利用して五所川原、むつ(以上青森県)、大槌(岩手県)、半田(愛知県)、可児、関(以上岐阜県)、天理、五條(以上奈良県)、萩(山口県)などへは、東京から2回以上の乗り換えが必要ですが、夜行高速バスなら、眠って起きたらこれらの都市に到着です。
高速バス網は多岐にわたるので、鉄道好きの人もたまに高速バスを利用してみると、それぞれの良さが浮き彫りになってくるでしょう。
【了】
Writer: 内田宗治(フリーライター)
フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。
でも、夜行バスは寝られない...。