「尖ったパイロットはいらない」F-35飛行隊長に聞いた 戦闘機部隊のリーダーに求められる「2つの要素」とは

千歳で異例の10年勤務「ベストガイ」にも

「パイロットになって最初の任地(勤務地)となったのは、北海道の千歳基地でした。部隊は第203飛行隊です。私はここで10年間ほどF-15『イーグル』戦闘機のパイロットとして任務についていました。これは、現在のパイロットの勤務期間と比べると極めて長く(筆者注:現在は2年程度で転勤を繰り返す)、この時には映画にもなった『ベストガイ』に選ばれたこともあります」

『ベストガイ』とは1990年に公開された東映作品で、織田裕二演じる航空自衛隊のF-15パイロットを中心に据えたスカイアクション映画です。航空自衛隊が撮影に全面協力しているため、本物のF-15Jや航空自衛隊の基地が撮影に使われており、邦画版『トップガン』という渾名もある映画です。

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第302飛行隊の隊長 入田太郎2等空佐。以前はF-15J「イーグル」のパイロットとして任務についていた(布留川 司撮影)。

 タイトルの「ベストガイ」は、実際に千歳基地で使われているパイロットへの称号で、「人格・技量に優れる模範的な隊員」に与えられます。映画では、それを巡って競い合う航空自衛隊パイロットたちの活躍を描いています。

 入田2佐はその称号を付与されたパイロットの1人ですが、彼いわく「映画のように派手なモノではないです(笑)」とのことでした。

 パイロットとしてある意味で現場一筋だった入田2佐ですが、その後は飛行隊を離れ、東京都目黒区にある航空自衛隊幹部学校へと進みます。幹部学校とは部隊指揮官や幕僚(指揮官を補佐する立場の隊員や組織)としての知識や技能を学ぶ航空自衛隊の教育機関です。

 戦闘機パイロットというと、職人芸を極めた存在であり、そのトップには徹底的に技術を磨き上げればなれるというイメージがあるかもしれません。しかし、実際の飛行隊長の任務は戦闘機の操縦だけではなく、部隊全体を指揮するという特別な技量も必要になります。

 民間企業でいえば、マネージャーとしての資質も求められるようになるのです。そのため、入田2佐もその後、戦闘機を操縦する飛行隊とデスクワークが主体の幕僚勤務を交互に繰り返していきます。

【お腹パッカーン!】これが空自F-35Aのミサイル収納部分です(写真)

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