バブル期の超豪華客車「夢空間」を“清瀬市”へ 「完全修復します」「活用します」保存とどう両立? 担当者に聞いた

風雨対策はどうするのか

――「ドア開閉や車内アナウンスができる」とも書かれていますが、ほかにはどういった部分を修復されるのですか?

(木原参事)「オリジナルの姿に戻す」とは、現役時の状態にできる限り戻すという意味です。客車を動かすわけではないので「動態保存」とは呼べませんが、客車として「生きている」動態状態によみがえらせる予定です。

 ご存じのとおり「夢空間」は、それぞれの客車が日本に1両ずつしか存在しません。現時点で他車から転用できる設備も少なく、オリジナルである内装やパーツについては、改めて制作する必要があります。また、敷地内に電源設備(三相交流440V)を設置し、ジャンパ連結器を使用して車両へ電力を供給し、冷房のAU77を再稼働させることで、客車固有の空調を活かしたいと考えております。

 ダイニングカーの厨房施設と水回り、ラウンジカーの水回り、洗面所、トイレ、自動演奏ピアノを復活させるほか、ダイニングカーの設置型エアコンを撤去のうえ、客車本来の空調を稼働させ、調度品の新調と修理を行います。ラウンジカーについては、絨毯やソファ、カウンターチェアのモケット新調などを行う予定です。

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現役時代のラウンジカー内部(安藤昌季撮影)。

――市の告知には「車両の文化財としての価値を適切に維持し後世に引き継ぐ」「定期的に専門業者によるメンテナンスや清掃が必要」とあります。屋根を付けて保存客車を保護するとのことですが、野外では風雨による劣化は発生することでしょう。また、民間事業として活用した場合、事業での使用による劣化、その修復も必要になると考えられます。この場合「専門業者による修復」の、継続的な費用負担はどうお考えですか?

(木原参事)さまざまな団体や個人が鉄道車両を保存されている現状を調査しましたが、屋根の有無で劣化状態が全く異なりました。ご指摘のとおり、車両に屋根をかけただけでは、紫外線や酸性雨の影響を完全に防ぐことができないことも承知しております。

 このことから、本市では車両保存の新たな試みとして、車両塗装を新たにやり直すとともに防汚コーティングすることを検討しています。あわせて、車両の設置後には劣化を最小限に抑えるため、車両イベントとして、市民、ボランティア、保存会のみなさまとともに、定期的な清掃や水洗いイベントなども企画したいと思います。

クルーズトレインに劣らない…! これが超豪華「夢空間」の車内です

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