ロシア機が領空侵犯→空自戦闘機が「炎の弾」発射! バルカン砲の警告射撃とナニが違う? 過去に実例も

2024年9月23日、防衛省は領空侵犯したロシア軍の哨戒機に対して、航空自衛隊の戦闘機がフレアを放つ警告行動をとったと発表しました。一部報道では「警告射撃」とも表現されましたが、フレアはそもそも何のために使う装備なのでしょうか。

よりヤバかった30年前の領空侵犯事件

 今回、航空自衛隊機は対象となるIL-38が3度目の領空侵犯した際にフレアを投下したとされますが、おそらく相手前方のやや横に出てロシア軍パイロットの視界内に入る位置で、フレアが直撃しないよう距離をとり投下したと推測されます。フレアの閃光と白煙はかなり距離が離れていてもよく見えるため、ロシア軍のパイロットが見逃すということは考えにくいでしょう。

 IL-38哨戒機は主に対潜水艦戦闘を目的とした大型機であるため、空対空ミサイルは装備していません。そのため、自衛隊機が本来の目的である囮弾としてフレアを投下したとは考えにくいでしょう。また攻撃されたという発表もなかったので、相手に合図するために使用したといえそうです。

 領空侵犯機に対して合図する方法としては他に「信号射撃」があります。これは機関砲を発射することで行われますが、火線を残す曳光弾は瞬時に消えてしまい視認しにくいという欠点があり、またかなり強いメッセージを与えることになるので、視認しやすいフレアはその前段階で行使する手段としては理にかなっています。

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フレアを投下する航空自衛隊のF-15戦闘機(画像:航空自衛隊)。

 なお、航空自衛隊機が機関砲による信号射撃を行った事例は過去に一度だけ存在します。それは、今から40年ほど前の1987年12月9日、ソ連空軍(現・ロシア空軍)のTu-16偵察機が2度続けて領空侵犯かつ沖縄本島陸地上空まで飛行した際、那覇基地を発進したF-4EJ「ファントムII」戦闘機が実施しました。

 今回は、領空侵犯を3度も行っているとはいえ、本土上空を飛んだわけではないため、1987年の事例よりも脅威度は低いと考えられます。

 諸外国においても相手に警告を与える上でフレアを使用する事例はいくつかあり、そうした映像もネット上に公開されています。また過去には、ロシア空軍のSu-27戦闘機が公海上空を飛行する無人機に対し、真正面で投下し意図的にフレアをぶつけようと試みたこともありました。

 そういったことを鑑みると、ロシアに対して厳格に抗議はすべきですが、日本政府・防衛省が冷静に対処するのは妥当であり、必要以上に国民が熱くなることは避けるべきでしょう。

【了】

【画像】爆弾倉を開けている! これが領空侵犯したロシア軍機です

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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