驚きの高性能!! ボーイングの「最新軍用機」は納得の先進性 でも“自衛隊には不釣り合い?”

「2024国際航空宇宙展」のボーイングブースに日時限定で最新練習機のシミュレーターが設置されました。乗ってみると素晴らしい機体であったものの、日本が導入するには超えなければいけないハードルがあることも実感しました。

スバルT-7からボーイングT-7Aは差ありすぎ!

 一方で、T-7A「レッドホーク」を航空自衛隊が導入するとしたら、いくつかの課題が考えられます。中でも大きなネックとなるのが、既存のプロペラ初等練習機、スバルT-7(奇しくも同じ名称だが別機)との性能差が既存のT-4に比べて拡大することです。

 スバルT-7は出力400馬力程度の比較的低出力のプロペラ機で、最大速度も203ノット(約376km/h)しか出ません。一方、T-7Aはほぼ戦闘機並みで、搭載エンジンはアフターバーナー付きのターボファンが2基。これにより最大速度もマッハ1.04(約1300km/h)です。この性能差を鑑みると、スバルT-7からT-7Aにいきなりステップアップするのは困難が伴うのではないでしょうか。

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T-7Aのサイドスティック。F-35と同様に感圧式となっている(関 賢太郎撮影)。

 アメリカ空軍では初等練習機とT-7A「レッドホーク」の間にもう1機T-6「テキサンII」練習機による訓練を挟んでいます。T-6はプロペラ練習機ながら出力1000馬力以上の高性能エンジンを搭載しており、単純比較では第二次世界大戦時の戦闘機にほぼ匹敵する性能をもっているため、初歩的な戦闘機動の訓練も行うことができます。したがって、アメリカ空軍の訓練生は相対的に高い技量を養った状態で、3機種目にT-7Aへ機種転換することになります。

 また、T-7A「レッドホーク」はシミュレーターを含めた総合的な訓練パッケージであり、幅広い訓練を行えることも大きな特徴です。性能ギャップ問題を解消できる可能性を有しますが、その一方で、T-7A「レッドホーク」では性能過剰な初歩的な戦闘機動訓練を実施しなくてはならないため、航空自衛隊では非効率的な運用となることは否めません。

 T-7A「レッドホーク」は航空自衛隊の次世代練習機として有力な候補のひとつといえなくもありませんが、戦闘機とのギャップはほとんどなくなる一方で、初等練習機からはギャップが大きくなってしまうことから、メリットとデメリットが大きくあらわれる機種であると言えるでしょう。

【了】

【差が歴然…】日本製T-4と最新T-7A、コックピットを見比べ(写真)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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