「乗換駅ではありません」でも実は乗り換えカンタン? 東京の役立つ「非公式乗り換え」ポイント3選
東京の地下鉄では、駅の名前が違うのに乗り換えできる駅が多数あります。その一方で、駅どうしが近いのに乗換駅に設定されていない例もあります。ここでは、乗り換えられたら便利かも、という駅や場所を3つ紹介します。
都営大江戸線「東中野」と東西線「落合」
都営大江戸線と東京メトロ東西線は3か所で交差していますが、このうち飯田橋駅と門前仲町駅の2か所で乗り換えができます。では3か所目の交差地点はというと、新宿区上落合付近。東西線の落合駅2b出口と、都営大江戸線の東中野駅A1出口とのあいだは400mほどしか離れておらず、その気になれば乗り換えができてしまいます。しかし、乗換駅には設定されていません。
このように駅どうしが近いのに構内でつながっておらず、しかし仮に乗換駅なら便利かもという例を、都内の地下鉄駅で3つ紹介します。
落合駅と東中野駅の場合、乗り換えるには地上の山手通りを一直線に歩くだけです。歩道が広くて歩きやすいのですが、落合駅から東中野駅へ向かう場合は登り坂になるのが難点でしょうか。
ちなみに東中野駅には駐輪場があり、そこの通路を抜けると地上を歩く距離は300m以下になります。
仮に乗換駅として設定された場合は、大江戸線の光が丘駅から東西線の早稲田駅までといった移動が便利になるほか、東西線が都心部を貫いて千葉県内まで結ぶ路線なだけに、区部西部から西船橋方面への所要時間が短縮される効果を期待できます。
千代田線「湯島」と都営大江戸線「上野御徒町」
接続路線の多い大江戸線ですが、東京メトロ千代田線とは2か所で交差しているものの、どちらも交差地点に駅がありません。しかし、湯島駅の2番出口と上野御徒町駅のA3出口のあいだは250mほどしか離れておらず、乗り換えができてしまいます。
乗り換えは地上の春日通りを一直線に歩けばよいのですが、上野御徒町駅A3出口の向きが乗り換えの方向とは逆で、慣れないと迷ってしまうかもしれません。また、春日通りの歩道が狭く、歩行者で混み合って歩きづらいです。
仮に乗換駅として設定された場合、千代田線沿線と大江戸線沿線との移動がかなり便利になることが期待されます。
なお、上野御徒町駅は東京メトロ銀座線の上野広小路駅や東京メトロ日比谷線の仲御徒町とも接続しているので、湯島駅との乗換駅になると、同駅で千代田線から銀座線や日比谷線と乗り換えが可能になります。湯島~仲御徒町間の乗り換えは遠いですが、湯島駅と上野広小路駅、上野御徒町駅の乗り換えは同じくらいの手間で済むので、千代田線沿線から銀座線の浅草付近に移動する場合などには便利になりそうです。
都営三田線「内幸町」と銀座線「新橋」
都営三田線では内幸町駅の南側で銀座線と交差していますが、銀座線側に駅がないために直接乗り換えることができません。しかし、内幸町駅A2出口と銀座線の新橋駅7番出口とのあいだは220mほどしか離れておらず、歩いて乗り換えができてしまいます。
乗り換えは地上の外堀通りを一直線に歩いて行くだけですが、途中で信号機のある交差点を渡る必要があります。
仮に乗換駅として設定された場合、一見すると三田線沿線と銀座線沿線の相互間での移動が便利になりそうです。
しかし、効果は限定的かもしれません。その理由は現状、三田線と接続している地下鉄各線を乗り継ぐことで、主だった銀座線の駅に移動できてしまうためです。しかも、大半は1回乗り換えるだけで済みます。
一例として、渋谷駅や表参道駅は銀座線に加えて東京メトロ半蔵門線の駅もありますが、三田線の駅からそこへ向かう場合は、神保町駅で半蔵門線に乗り換えるだけで移動できてしまうのです。
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以上、制度のうえでの乗り換えはできませんが、自主的に乗り換えることはできます。通常のきっぷや交通系ICカードでは運賃が通算とはなりませんが、都営地下鉄・東京メトロ共通一日乗車券や東京フリーきっぷのような乗り放題のきっぷであれば、裏ワザとして乗り換えてもよさそうです。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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