電車賃の「最安」京王や東急が返上!? 一番安い首都圏の鉄道事業者はどこ? 運賃を比較してみた

運賃の値上げが相次いでいますが、首都圏の鉄道は今どこが一番安いのか、改めて比較してみます。

5km・10kmだとどうなる?

 この3社とJR東日本の5kmでの運賃は次のとおりです(カッコ内はきっぷ)。

・小田急:167(170)円

・京王:160(160)円

・東急:180(180)円

・JR東(山手線内):167(170)円

・JR東(電車特定区間):167(170)円

 京王は近距離での運賃の区分が細かく、上がり幅も緩やかなので、15kmまではほぼ最安をキープしています。ただし、10kmでは以下のようにJR東日本が最安です。

・小田急:230(230)円

・京王:209(210)円

・東急:227(230)円

・JR東(山手線内):178(180)円

・JR東(電車特定区間):178(180)円

 JR東日本は、4~6km区間から7~10km区間への上がり幅が11円(きっぷ10円)なので、初乗り運賃でスタートダッシュを切った小田急・京王・東急よりも安いというカラクリです。

 しかし、距離が伸びるとまた形勢は変わり、30kmでは東急が347(350)円と、4社の中では最安となります。各社とも沿線各駅の利用状況に合わせた戦略が反映されているものと思われますが、運賃が変わる距離や上がり幅が異なるのは興味深いところです。

 ところで、ここで東京メトロの運賃を見てみましょう。10kmでは209(210)円と、なかなか大健闘の数字です。「初乗りは高い」というイメージのある東京メトロですが、実は距離が長いほど相対的に安くなる特徴があります。中野~西船橋間は、JR東日本だと571(580)円なのに対し、東京メトロだと324(330)円で移動できるのも有名な話ですね。

 2026年3月に予定されているJR東日本の運賃改定で、中央線の東京~新宿間が253(260)円になると、東京メトロ丸ノ内線の同じ区間が逆に209(210)円で安くるといわれるのもこれに由来しています。もちろん、東京メトロの運賃改定がない前提での話ですが……。

 ユーザーとして運賃は重要ですが、鉄道は安全運行を支える人々の存在があってこそ。単純に安い・高いだけではなく、日々の重積を果たしてくださることに感謝しながら、これからも利用していきたいところです。

【一目瞭然】同じ距離で安い・高いが分かる各社運賃比較

Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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