自衛隊の次期戦闘機でいちやく注目!? 80年前の元祖「烈風」とは? “紆余曲折の経緯” GCAPの行く末を暗示か
日本がイギリスやイタリアと開発中の次期戦闘機に、防衛省が「烈風」という愛称を検討しているとの報道が流れました。ただ、この名前はかつて太平洋戦争中に造られた戦闘機に付けられています。では、先代「烈風」とはどんな機体だったのでしょうか。
「二兎を追うものは一兎も得ず」
ところが肝心の海軍内部では、「17試艦上戦闘機」に対する要求性能がふたつに分かれるような事態が生じていました。一方は、当時出現しつつあった速度性能を重視するグラマンF6F「ヘルキャット」やロッキードP-38「ライトニング」、リパブリックP-47「サンダーボルト」など欧米のライバル機種を参考に、先々を見据えて、同様に速度性能を重視したヒット・アンド・アウェー(一撃離脱戦)式の空戦を行うための機体。もう一方は、従来の日本軍機と同じようにドッグファイト(格闘戦)式の空戦を重視した、いわば「零戦」の延長線上にある機体、というものです。

機体のコンセプト設定には、受注した三菱はとやかくいうこともできず、結局、海軍の最終的な要望は、ドッグファイト性能を最重視しつつも両方の要件を満たすという欲張りなものでした。そしてこのような「二兎を追うような」要求に、堀越以下の三菱設計陣は頭を悩ませることになります。
加えて、当時の三菱は、このような新型機の開発と同時に、既存の「零戦」や「一式陸上攻撃機」の改良と生産に忙殺されており、「17試艦上戦闘機」に注力しにくい状況でもありました。
ちなみに、このような状況下、川西航空機(現在の新明和工業)が開発した局地戦闘機「紫電改」が高性能を示したことで、同機を空母艦上機へ転用しようかという流れも生じ、結果「烈風」の開発優先度が幾分か緩められたとも言われています。
ただ、これら開発環境的な事情とは別に、「17試艦上戦闘機」の開発は別の点でつまずきます。それは搭載エンジンの選定でした。
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