『となりのトトロ』に出てきそう!? 昭和レトロな「トツバイ」「ビジバイ」なぜ消えた?「スーパーカブ」とは似て非なるもの

近年人気のホンダ「スーパーカブ」。実はこれも、かつて日本の暮らしを支えてきたビジネスバイクの一つであり、昭和の時代にはさまざまな仕事の現場で活躍していました。そんなビジネスバイクの歴史と魅力を振り返ってみましょう。

昭和の街角にはいつもその姿があった

  ビジネスバイク、略して「ビジバイ」とは、配達や外回り営業、警察のパトロールなど、さまざまな業務に用いられるオートバイのことを指します。

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ビジネスバイクとして1977~2003年に生産されたホンダ「ベンリイ」シリーズの「CD125T」(画像:ホンダ)。

 一部地域では、「父つぁんバイク」や「突撃バイク」という意味から、「トツバイ」とも呼ばれたこれら趣味性よりも実用性を重視したオートバイは、昭和の時代においては人々の生活や経済活動を支える重要アイテムでした。

 広い意味では、業務に使うバイクはすべてビジネスバイクと呼べるかもしれません。事実、「Uber Eats」などのフードデリバリー業界では、ホンダ「PCX」や「ジャイロキャノピー」、ヤマハ「トリシティ」などのスクーターが人気を集めています。バイク便業界では、ホンダ「CB400スーパーフォア」や「VTR250」などのネイキッドバイクがよく使用されているようです。

 ここでは、業務での使用を前提に開発され、大型リアキャリアを標準装備した単気筒もしくは2気筒のMT(マニュアル・トランスミッション)車、つまりレトロタイプなビジネスバイクに絞って話を進めていきます。

 ビジネスバイクに求められるポイントは、良好な燃費性能に加え、税金や自動車保険料、メンテナンスコストが低く抑えられていることが重要になります。さらに、誰にでも扱いやすい操作性や十分な積載能力も必要となります。そうしたことから昭和の時代に誕生したビジネスバイクは、2ストロークもしくは4ストロークの空冷単気筒エンジンが採用されていました。

 業務で使用するバイクの多くは、狭い路地を効率的に移動し、狭いスペースでも駐輪しやすいよう125cc以下のミニバイクであることがほとんどです。スズキ「コレダ250TT」やホンダ「CD250U」など排気量250cc以下の軽自動二輪クラスも過去にはビジネスバイクに用いられたことがありましたが、業務用としては排気量が大きく、また高価であったこともネックとなり、1990年代中頃までにはほぼ淘汰されてしまいました。

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