「北欧製戦闘機」37年越し初の実戦投入も アジアの紛争国で次々デビューした“新兵器”たち 輸出国は複雑な心境?
停戦に合意したカンボジアとの武力紛争で、タイ軍は4つの兵器を初めて実戦投入し、その性能を実証しました。そのなかには、デビューから37年経った北欧製の戦闘機も含まれています。
初飛行から37年! 実戦経験を得た「グリペン」
4つ目はタイ空軍が投入したJAS39「グリペンC」戦闘機です。カンボジアは戦闘機を保有していませんので、タイ空軍のグリペンは空対空戦闘を行ったわけではありませんが、一部報道ではカンボジア軍の砲兵陣地を精密誘導爆弾で攻撃して、カンボジア軍に少なからぬ損害を与えたとされています。

KGGBとM-758は2020年代に入ってから、VT-4も2010年代後半にタイ陸軍が導入した比較的最近の兵器ですが、タイ空軍のグリペンは2010年代前半に導入されていました。配備開始から10年以上を経て初めて実戦に投入されたことになります。同時にこれは、原型機の初飛行(1988年)から37年が経過するグリペンにとって、初めての実戦参加でした。
ただ、グリペンを開発したスウェーデンは兵器の輸出に最も厳格な規制をかけている国のひとつで、本来、紛争中の国家への兵器輸出は自粛しています。
スウェーデンは、2024年3月にNATO(北大西洋条約機構)に正式加盟するまで、重武装中立を堅持していました。それまでも1994年にNATOと「平和のためのパートナーシップ」を締結しており、2011年には国連安全保障理事会がNATOの要請に基づき、リビアに設定した飛行禁止区域の監視と実行のためにグリペンを派遣していますが、この時は武力行使を行っていません。
タイは2024年に発展改良型のグリペンE/Fの導入を決定していましたが、今回、タイがカンボジアとの戦いでグリペンCを投入したことを受け「タイへのグリペンE/Fの輸出をスウェーデンが認めないのではないか」という誤った報道が流れ、タイのスウェーデン大使館がFacebookを通じて否定する事態になりました。この一件からも、スウェーデンが紛争当事国への兵器輸出に慎重になっていることが見て取れます。
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