「北欧製戦闘機」37年越し初の実戦投入も アジアの紛争国で次々デビューした“新兵器”たち 輸出国は複雑な心境?

停戦に合意したカンボジアとの武力紛争で、タイ軍は4つの兵器を初めて実戦投入し、その性能を実証しました。そのなかには、デビューから37年経った北欧製の戦闘機も含まれています。

ようやく得た「戦場の有用性」だが…

 とはいえ、兵器の輸出にあたっては、実戦で有用性を実証した「コンバットプルーフ」が重視される傾向があります。

 筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は以前、グリペンを開発したサーブのスタッフに、「グリペンは競合機のF-16などに比べコンバットプルーフが不足しており、この点は輸出において不利な要素なのではないか」と尋ねたことがあります。

 この時、スタッフの方は私の疑問に対し、「コンバットプルーフの不足が輸出で不利な要素となっているのは確かだけど、本当は1発も実弾を撃たず、1人の命も奪うこともなく、スウェーデンや輸出国の独立を守って、静かに退役してくれるのが理想なんだよね」と語っていました。グリペンは今回、タイ空軍によってコンバットプルーフを得たわけですが、スウェーデン政府とサーブの心境は、やや複雑なのかもしれません。

【ついに実戦へ】これが「タイ軍の中国戦車」です(写真で見る)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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