「エイみたいな異形の旅客機」なぜ実現困難? 既存機より「優れた点」多数も… 「航空機研究者」に聞くと納得の理由が

各航空機メーカーが打ち出す将来の旅客機の設計プランのなかには、胴体と翼が一体となり、まるで“エイ”のような形状が特徴のものが存在します。既存の旅客機よりも優れたポイントがあるにも関わらず、実現は難しいとも。なぜなのでしょうか。

効率イイ、客室設計上有利、でも…?

 現代の旅客機は、円筒状の胴体に主翼、水平尾翼、垂直尾翼を備えた形状が一般的です。機種によって翼やエンジンの配置に違いはあるものの、基本的なスタイルはほぼ共通しています。そのようななか、航空機メーカーが示す将来の旅客機構想の中には、胴体と翼が一体化し、まるでエイのような外観を持つ「BWB(ブレンデッド・ウイング・ボディ)」と呼ばれる機体形状も存在します。

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JetZero「Z4」ユナイテッド航空仕様機のイメージ(画像:JetZero)。

 このBWB旅客機は、既存の旅客機よりも優れた点があるとされています。それにもかかわらず、なぜ実用化には至っていないのでしょうか。

 アメリカのスタートアップ企業であるJetZeroによると、BWB旅客機は混合翼設計を採用することで、胴体そのものが翼の一部として揚力を生み出す構造になります。これにより空力性能を高めることができ、小型のエンジンでも飛行が可能になるといいます。その結果、燃料消費量や二酸化炭素排出量を、現在主流の旅客機と比べて半分程度まで削減できる可能性があるとしています。

 さらに同社は、客室設計の面でもメリットがあると説明します。円筒状の胴体を持つ現行機と比べ、客室空間を横方向に広く確保できるため、乗客や乗員の居住性が向上します。また、客室内の通路を増やすことができるため、搭乗や降機がスムーズになり、ターンアラウンドタイム(到着から次の出発までに要する時間)の短縮にもつながるとしています。

 このように多くの利点が指摘されるBWB機ですが、軍用機ではすでに実用化されている一方で、旅客機分野ではなかなか実現していません。

 その理由について、次世代航空機の研究を進めているNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の担当者は、2025年11月に開催された「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2025」で次のように説明しています。

【画像】えっ…これが「エイみたいな旅客機」驚愕の全貌と客室です

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