27年ぶりの復活だ! 海自の新型艦「あかし」武装ゼロの丸腰でも“潜水艦戦の要”になる理由
海上自衛隊の新型海洋観測艦「あかし」が就役しました。大砲やミサイルを持たない“武装ゼロ”の艦艇ですが、実は現代の潜水艦戦に必要不可欠な存在。27年ぶりに名跡が復活した新鋭艦の、知られざる重要任務に迫ります。
レーダーが通じない海中戦! 潜水艦をあぶり出す「音とデータ」
海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)で2026年3月12日、就役したばかりの海洋観測艦「あかし」の初入港を歓迎する式典が開かれました。
横須賀地方総監の八木浩二海将は、逸見岸壁に並んだ乗組員に向けて「『あかし』の名が海上自衛隊の艦艇として復活するのは27年ぶり。誇りと自信をもって任務にまい進し、新たな歴史を刻んでいくことを期待している」と述べました。
「あかし」は、既存の海洋観測艦「わかさ」の代替として、防衛省の2022(令和4)年度予算で建造が決まりました。同艦は三菱重工業グループの三菱造船が受注し、建造を担当した三菱重工下関造船所(山口県下関市)で3月9日に引き渡されています。
三菱造船は商船や巡視船、官公庁船の新造を主に担っており、三菱下関で防衛省向けの艦艇が引き渡されるのは敷設艦「むろと」以来、実に13年ぶり。竣工したばかりの「あかし」は三菱下関の従業員らに見送られながら出港し、2日後の3月11日に横須賀基地へ入港しました。
式典であいさつに立った「あかし」艦長の菅原君和2等海佐は「無事に就役を迎えられたことは、関係者や家族の力添えや支援があったからこそだと思っている。昨日(3月11日)から諸搭載や訓練を開始しており、日々の業務や訓練にまい進することで『あかし』の伝統を築いていきたい」と意気込みを述べています。
海上自衛隊の海洋観測艦は、潜水艦の行動や対潜水艦戦に活用する海洋情報の収集を目的とした艦艇です。現代の戦いにおいて、海上で敵の侵攻を阻止するためには潜水艦の対策が必要不可欠ですが、海中ではレーダーを使うことはできません。そのため上空や海上から潜水艦を探す際は音波を利用して物体を感知するソナーを使用します。
しかし、音波は海中で複雑に曲がる性質があるうえ、水温、地形、水深、塩分濃度、潮流といった海洋環境の影響を大きく受けます。潜水艦の位置を特定しようとしても、温度層が異なれば探知が難しくなるため、潜水艦を運用する側からしても、水測状況を知る必要があります。
そこで出番となるのが、海洋観測艦です。同艦は平時から日本の周辺海域で調査を行い、海洋における作戦環境の把握に必要な水温や塩分濃度、海中雑音、海底地形などの各種データを収集しています。集められた海洋環境データは対潜資料隊でデータの解析が行われ、各司令部や艦艇、航空機と情報を共有します。





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