27年ぶりの復活だ! 海自の新型艦「あかし」武装ゼロの丸腰でも“潜水艦戦の要”になる理由

海上自衛隊の新型海洋観測艦「あかし」が就役しました。大砲やミサイルを持たない“武装ゼロ”の艦艇ですが、実は現代の潜水艦戦に必要不可欠な存在。27年ぶりに名跡が復活した新鋭艦の、知られざる重要任務に迫ります。

さらば昭和の長寿艦! 女性自衛官も活躍する新鋭「あかし」の丸腰スペック

 海上自衛隊は東西冷戦中、性能の向上が著しい潜水艦に対抗するため、海洋データを収集する独自の海洋観測艦の建造を計画。それが、前出の八木総監のスピーチでも出てきた1969(昭和44)年10月竣工の初代「あかし」です。

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横須賀基地の逸見岸壁に並ぶ海洋観測艦「あかし」の乗組員(深水千翔撮影)。

「我が国を取り巻く安全保障環境は日を追うごとに厳しさを増しており、諸官が果たす海洋観測任務の重要性もかつてないほど高まっている」(八木総監)

 海洋観測艦は神奈川県横須賀市を母港とする海洋業務・対潜支援群隷下の第1海洋観測隊に配備されており、今後は「にちなん」「しょうなん」と新造の「あかし」の3隻体制になります。ちなみに「あかし」に代わって退役する「わかさ」が竣工したのは1986年(昭和61年)2月。数少ない昭和生まれの海自艦艇でした。

 今回就役した「あかし」の基準排水量は3500トン。全長は約113.7m、幅は約17.8mです。乗組員数は約90人で、女性自衛官は最大12人まで乗艦できます。建造費は280億円です。任務の性格上、最前線に出ることはまずないため、ミサイルや砲などは搭載していません。

「あかし」は海洋観測任務のため、旋回式推進装置とバウスラスターを装備し、高い操縦性能を確保。水中機器の敷設・揚収機能を強化するとともに、艦上における海洋環境データ処理能力の向上を図りました。基本的な仕様は、2010年3月に三井造船玉野艦船工場(現:三菱重工マリタイムシステムズ)で竣工した「しょうなん」に準じており、官給品や民生品を積極的に活用することにより、建造費やLCC(ライフサイクルコスト)を低減しています。

 三菱重工グループのヤードでは艦艇の竣工が相次いでおり、三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場では3月6日に音響測定艦「びんご」(2900トン)が、三菱重工神戸造船所では3月10日に潜水艦「ちょうげい」(3000トン)がそれぞれ引き渡されました。水上艦隊の発足など海上自衛隊創設以来となる大規模な部隊改編も控えており、既存艦の世代交代と合わせて新しい時代の幕開けを感じる月となりました。

【写真】間もなく見納め 退役目前「わかさ」と最新「あかし」を見比べ

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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