さいたま東部「7.2kmの鉄道新線」は採算とれるの? 90年前に消えた鉄路の夢再び…事業費1440億円の勝機は
2026年3月、埼玉県とさいたま市が埼玉高速鉄道の浦和美園~岩槻間7.2kmの事業化を鉄道事業者に要請しました。2041年の開業を目指す計画の背景と、90年前に廃止された“幻の鉄道”との関係とは。
勝機はある? 市はまちづくりに自信
このようなまちづくりは可能なのでしょうか。中間駅が置かれる浮谷地区(浮谷下停留所)の公共交通は現在、国際興業バスの岩槻駅行き、浦和美園駅・東川口駅行きの路線バスのみで、運行本数は朝ラッシュ時間帯ですら1時間1~2本程度です。
さながら「陸の孤島」の同地域ですが、都心からの距離で見れば人気住宅地である流山おおたかの森、新鎌ヶ谷、新百合ヶ丘、所沢と同程度の好立地です。現在はバスとSRの乗り継ぎで都心まで1時間15~20分を要しますが、延伸が実現すれば50分台で結ばれます。所要時間はやや長いですが、地価の安さで勝負すれば勝機は十分あるでしょう。
さいたま市は首都圏の政令指定都市で人口増加率(2015~2020年)が最も高く、子どもの転入超過数が全国1位の都市です。2026年3月1日現在の人口は約135万人で、2005年から約18万人、2015年から約9万人増加。世帯数はそれ以上のペースで増加しています。
今後は首都圏も人口減少とは無縁でいられませんが、国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計では、さいたま市の人口は2035年頃まで増加し、以降も同水準を保つ見込みです。市は人口推計が上振れしていること、SRの輸送人員数がコロナ禍前の水準まで回復していること、民間事業者から「住宅地としてのポテンシャルが高く、開発規模を拡大すべき」との声があったことから、開発規模を見直したと説明します。
中間駅のまちづくりは「みどりと未来にこころ浮き立つ、人を育てる100年続くまちづくり」をコンセプトに、駅から徒歩10分(半径800m)の範囲にウォーカブルで緑豊かな環境を整備するとしており、これを「新たな田園都市的まちづくり」と称しています。
さいたま市がまちづくりに自信を見せるのは、過去に浦和美園、西大宮付近で新駅開業にあわせた区画整理事業を成功させた実績があるからです。浦和美園は1995(平成7)年から2020年で、駅周辺1kmの人口が2602人から1万5391人に増加しており、中間駅でも再現を狙う格好です。
鉄道に取り残されてきた浮谷地区ですが、実は約90年前、1938(昭和13)年まで私鉄「武州鉄道」の浮谷駅がありました。東川口、浦和美園から岩槻、そしてSRの計画上の終点である蓮田まで、SRとほぼ並行して走った武州鉄道は、蓮田・岩槻方面から建設したため都心に接続できず、経営難で廃止されてしまいました。
痕跡はほとんどありませんが、目白大学前通りや県道324号蒲生岩槻線の一部は武州鉄道の線路を転用したものです。90年越しの再チャレンジは実を結ぶのでしょうか。
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx





単独での採算はギリギリプラスってとこでも
今まで京浜東北線や東武線に流してた都心に向かいたい需要を
南北軸がもう一本増やせるのでそこまでの移動で賄える
浦和・大宮辺りと伊勢崎線とのバスは系統分離されちゃうかもだけど
その分必要なとこだけ密度を上げられたりは有るのかも