なぜ車を「どれも同じ顔」にしたがる? 「見分けがつかない」「個性がない」それでもメーカーが選ぶ“諸刃の剣”の顔戦略

最近のトヨタ車にみられる「ハンマーヘッド」など、メーカー内でデザインを統一する「ファミリーフェイス」が目立ちます。モデルごとの違いが分かりにくくなるのになぜ採用されるのでしょうか。

「全部同じ顔」モデルで“地獄”を乗り越えたマツダ

 ファミリーデザインの採用により、近年最も成長を遂げた国内メーカーはマツダでしょう。マツダは2010(平成22)年、「魂動デザイン」という新世代のファミリーフェイスの採用を始めました。

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「鼓動デザイン」の採用もあり爆発的ヒットを記録した初代「CX-5」(画像:マツダ)

 当時のマツダは、円高やリーマンショックなどの影響で経営が悪化しており、会社自体の先行きも不安視されていました。当時のマツダ経営陣は「マツダの世界シェアは2%しかないからこそ、ブランドが重要」と主張。打開策のひとつとして、新しいファミリーフェイスである魂動デザインの採用を進め、イメージの一新を図りつつ、世界的には低かったマツダブランドの知名度を高めることに成功しました。

 また、魂動デザインの全車展開には独自の個性を前面に押し出す狙いもありました。消費者へブランドの魅力をストレートに伝えるには、ファミリーフェイスは適した手法です。マツダは不特定多数のユーザーではなく、進んで自社のクルマを選ぶコアなファンを増やそうとしたのです。

 マツダは日系メーカーのなかでも、特にブランド力の弱さに振り回された会社です。昭和期には販売力の弱さから、全国のディーラーで大幅な値引きが横行。それが「マツダ車=安物」というイメージを一層強め、他社での乗り換えの際には下取り価格も低く査定されていました。

 そのためマツダ車のユーザーは、下取りが安いから値引きの大きいマツダの新車しか買えない、あるいは最も高い下取り額を提示する、マツダ販社しか選べなくなる状況にしばしば陥り、世間ではこの悪循環を「マツダ地獄」と呼ぶ人もいたほどです。

 こうした状況を打開するため、マツダは昭和末期から平成初期にかけて販売、ブランドを5つに増やす「5チャンネル体制」に挑戦。しかし、いきなり誕生した新ブランドはユーザーに浸透せず、バブル崩壊もあって大失敗。経営危機に陥ったマツダは、1990年代後半に米国のフォード傘下に入りました。こうした過去があるからこそ、マツダは今もブランド力の向上に心血を注いでいるのでしょう。

【全部見分けられる…?】これが日本で買える「マツダの乗用車ラインナップ」です(写真で見る)

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コメント

1件のコメント

  1. トヨタは中身も全部同じになりつつあって白物家電化著しいですよね

    いつ買っても損しないが、買い替えても代わり映えしないというジレンマ