ステルス戦闘機が空中停止! 神業に見えるその操作方法とは!? 実は特殊な仕掛けがあった
戦闘機は高速で飛び続けるもの――そんな常識を覆す飛び方が存在します。ステルス戦闘機F-35「ライトニングII」のB型は、ヘリコプターのように空中で静止する「ホバリング」が可能です。
操縦は簡単 しかし余裕はないという仕様
そもそも、ヘリコプターやハリアーのような機体でホバリングを行うのは簡単ではありません。機体は常に不安定で、風の影響も受けやすく、パイロットは位置を維持するために細かな操作を続ける必要があります。
しかしF-35Bでは、こうした負担の多くがコンピューターによって肩代わりされています。STOVLモードに切り替えると、機体側が推力配分や姿勢制御を自動で行い、減速すれば安定したホバリング状態へ移行します。パイロットは機体を直接細かく操縦するのではなく、「どこへ動かすか」を指示するだけでよいとされており、その操縦感覚は、プロポで飛行を操作するドローンに近いものだといいます。
このように操縦は大きく簡素化されていますが、F-35Bのホバリングが決して余裕のある飛行というわけではありません。
まず大きな制約となるのが重量です。機体を推力だけで支えるためには、燃料や搭載物の量を抑え、機体を軽くする必要があります。さらに、ホバリング中はエンジンが高出力状態となるため、燃料消費も非常に大きくなります。
その結果、ホバリングを維持できる時間は数分程度に限られ、長時間続けることはできません。着陸のやり直しにも大きな余裕はなく、常に燃料残量を意識した判断が求められます。つまり、操縦そのものは簡単になった一方で、運用としては極めてシビアな飛行であるというわけです。
F-35BがSTOVLモードで操縦を自動化したのは、単なる操作の簡略化が目的ではありません。パイロットを操縦から解放し、燃料や位置、タイミングといった飛行全体のマネジメントに集中させることで、安全かつ確実な運用を実現する狙いがあります。
空中で静止するという、一見すると「神業」のような飛行も、その裏では緻密な制御と余裕のない運用条件の中で成り立っています。B型の操縦は、同じF-35であっても独自のスキルが求められるのです。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info





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