なぜ日本船なのに「パナマ国旗」を掲げるの!? 業界で100年続く“世界規模の裏ワザ”の正体とは
港に停泊している巨大な貨物船。日本の海運会社が運航しているはずなのに、船尾にはなぜか「パナマ」など外国の国旗が掲げられています。実は日本の外航商船の半数近くはパナマ船籍だとか。なぜ日本の船籍にしないのでしょうか。
カギは税金と船員 100年続く“世界規模の裏ワザ”
3つ目は、船籍登録の手続きが比較的簡便なことです。これには便宜置籍船の歴史が深く関わっています。
便宜置籍船の起源は古く、1910年代にさかのぼります。アメリカなどの船主が、本国の課税や法規制を回避する目的でパナマなどに船籍を登録するようになったことが始まりとされています。パナマは1925年に外国船主による船舶登録を広く認める制度を整え、船籍登録を誘致しはじめました。現在のような船籍大国への道は、おおよそ100年前から続く仕組みで支えられているのです。
日本でも1970年代、ニクソンショック後の円高に苦しむ海運会社が、運航コストを米ドル建てにしやすい便宜置籍船に活路を求め、急速に広がっていきました。
日本政府は、一定の条件を満たした船舶の税負担を軽減する「トン数標準税制」や「国際船舶制度」などを導入し、日本船籍の維持・確保を図っています。
もちろん便宜置籍船には、船員の労働条件や安全管理への懸念といった指摘も存在します。現在では国際海事機関(IMO)が定める条約への適合状況のチェックや、各国の港で行われる検査であるポートステートコントロール(PSC)の実施により、船舶の安全性や労働環境は国際的に監視されています。
現在では適切な安全水準の管理とともに、要件を満たさない船に対する対処も進められています。
普段はあまり意識されない船の旗ですが、そこには100年以上にわたって積み重ねられてきた、国境をまたぐルールと国際ビジネスに裏打ちされた歴史が描かれているのです。





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