核戦争には対応無理!?「新エアフォースワン」見た目は豪華でも中身まったく違うワケ “数年で退役”ってナゼ?
老朽化した現用エアフォースワンに代わり、新たな機体が7月4日に就役。しかし、その機体が大統領専用機としての能力を満たしていないとしたら…
「ブリッジ」=次期専用機までの「橋渡し」
そこで浮上したのが、「つなぎ役」として747-8を活用する構想であり、それがVC-25B「ブリッジ」です。ブリッジとは英語で「橋渡し」を意味します。つまり本来のVC-25Bが完成するまでの数年間だけ運用される暫定的な大統領専用機という位置付けです。
この機体は短期間しか使用しないことが前提であるため、改造方針も本来のVC-25Bとは大きく異なります。通常のVC-25Bでは数年単位を要する改造を、この機体では約10か月という異例の短期間で完了させました。そのため、カタール時代から備わっていた豪華なVIP用内装は大部分がそのまま活用され、大規模な内部改装は行われていないと考えられます。
つまり「新しいエアフォースワン」を一から造るのではなく、既存のVIP機を必要最小限の改修でアメリカ大統領が利用できるレベルまで引き上げようという考え方です。
しかし、その代償として本来のエアフォースワンが備える能力の多くは搭載されません。高度な軍事通信システムは限定的なものとなり、有事に国家中枢として機能する能力は持ちません。また自己防御システムも搭載されないとみられています。
言い換えれば、この機体は見た目こそエアフォースワンであっても、その中身は「世界最高の指揮統制機」ではなく、「大統領を安全かつ快適に輸送するVIP専用機」に近い存在なのです。国家存亡に関わる危機管理任務まで担う機体ではないという点が、本来のVC-25Bとの決定的な違いと言えるでしょう。
このようにVC-25B「ブリッジ」は、航空機として見れば決して完成形ではありません。しかし、その役割は極めて明確です。老朽化したVC-25Aと完成が遅れる本命VC-25Bとの間を埋める「橋」として、数年間だけアメリカ大統領の空の移動を支えることにあります。
そして、その任務は永続的なものではありません。本来のVC-25Bが2機とも就役すれば、その役目は終わります。計画では退役後、VC-25Bブリッジはトランプ大統領図書館へ寄贈され、歴史的航空機として展示される予定です。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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