B-1Bは「戦略爆撃機」じゃない!? 米露関係の悪化で「核搭載能力」を再付与する動きが浮上したワケ
冷戦時代に「戦略爆撃機」として誕生した巨大爆撃機B-1B「ランサー」は、“ある条約”により「通常爆撃機」に格下げされましたが、再び「戦略爆撃機」に戻るかもしれません。
B-1B「核能力回復」と核軍縮時代の終わり
しかし、B-1Bを通常爆撃機としてきた前提条件が大きく揺らぎ始めています。米露の軍備管理における協力関係が、ロシアによるウクライナ侵攻などを契機として急速に悪化したからです。新戦略兵器削減条約(新START)は2026年2月5日をもって失効し、両国の核戦力を法的に制限する仕組みは消失しました。冷戦終結以来続いてきた核軍縮の流れは、大きな転換点を迎えたと言えるでしょう。
また、B-1Bは2030年代初頭にも退役させる見込みでしたが、現在では少なくとも2037年まで運用することが計画されています。アメリカを取り巻く戦略環境の変化を受けて、下院軍事委員会では空軍にB-1Bへの核兵器搭載能力を再付与する可能性について調査するよう提案しています。
空軍は「B-1Bの核能力回復の実現可能性」に関する報告書を今年(2026年)12月までに提出することになっています。
報告書には、核兵器搭載可能なB-1Bの抑止力に関する分析や、「B-1Bが核兵器を運搬できるようにするために必要な、撤去された配線や電子機器の復元、ソフトウェア、および兵器統合の変更に関する説明」、そして「現在配備されている、または計画されている自由落下核爆弾や空中発射巡航ミサイルとの互換性の評価」といった要素が含まれる予定です。
実現には相応の時間と費用を要するでしょう。それでも、既存機を活用して短期間で核戦力を増強できる可能性がある以上、検討する価値は十分にあるという判断があったと考えられます。
B-1Bの核搭載能力復活論が浮上した事実は、新たな核軍拡競争の時代へと世界が移行しつつある事実を象徴していると言えるでしょう。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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