MiG-25函館へ! 冷戦さなかの「ベレンコ中尉亡命事件」が日米ソにもたらしたものとは

その日、秘密のベールの向こうにあったソビエト連邦(当時)から、さまざまな機密てんこ盛りの1機が白昼堂々函館へ飛来、冷戦期の世界を大きく揺るがしました。「ベレンコ中尉亡命事件」の経緯と、その影響について解説します。

それは機密のカタマリ ソ連軍が奪還に来る?

 MiG-25は1950年代後半に、当時アメリカが開発を進めていたB-58や実用化に至らなかったXB-70といった超音速爆撃機、また、一時期沖縄の嘉手納基地にも配備されていた時速マッハ3で飛行が可能な超音速偵察機SR-71などの、迎撃を目的に開発された戦闘機です。

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アメリカ空軍の超音速爆撃機B-58「ハスラー」(画像:アメリカ空軍)。

 アメリカの超音速軍用機を迎撃するため、MiG-25は速度性能に重きを置いて開発されました。最高時速はマッハ2.83(3000km/h)に達しており、その後も最高時速でMiG-25を上回る実用戦闘機は現れていません。

 MiG-25は1967(昭和42)年にモスクワで開催された航空ショーで、西側諸国に初めてその存在が明らかにされました。インターネットが普及した現在では、ロシアや中国の最新鋭戦闘機の画像を見たり、情報を得たりすることはそれほど難しくありませんが、当時のソ連は極端な秘密主義を貫いていたため、西側諸国はほとんど情報を得ることができませんでした。

 このため当時のアメリカは断片的に得た情報からMiG-25の性能を過大評価しており、さらにMiG-25が本土防空を行なう迎撃機ではなく、前線で制空権を確保する戦術戦闘機なのではないかと誤解して、開発を進めていたF-15にMiG-25に対抗できるだけの、高い速度性能と運動性能を与えることを決めたとも言われています。

 アメリカを誤解させて、新戦闘機計画を左右するほど秘密のベールに包まれていたMiG-25が転がりこんできたことは、日本にとっても同盟国のアメリカにとっても、MiG-25の全貌を知る千載一遇のチャンスだったのですが、その反面、秘密のベールに包まれていた戦闘機であったが故に、ソ連が特殊部隊を函館空港に送り込んでMiG-25の奪還や、秘密保持のために破壊するのではないかという噂も流れました。このため陸上自衛隊は函館駐屯地祭用に用意していた61式戦車や、35mm2連装高射機関砲L90などを用意して、万が一の事態に備えたと言われています。

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コメント

4件のコメント

  1. 本文中にもありますが、函館駐屯地ては色々とあったと亡き父から聞いてます、函館空港は海から近い事もあり海自も臨戦態勢だったようですが詳細は今となっては分かりません。何故か函館空港は事件の舞台になるのか不思議です、全日空機ハイジャックがあったのも函館空港

  2. 日本が最前線のひとつであると認識させる事件ですね

  3. 現在の戦闘機に求められるのが、マルチロール性とステルス性なんだから、不思議に思う。

  4. 当時私は北海道の大学の3年でした。寝ていると後輩が「先輩!戦争です!」と大声をあげながら私の部屋のドアを叩き、青ざめた顔で入って来ました。『この歳じゃ当然行くしかないだろうな。』って早合点して悲しくなりながらTVを点けて実情を確認しました。その日から上空を飛び交う戦闘機やヘリが増え、国道を走る自衛隊車両も増えた記憶があります。

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