最北の駅から最南の駅へ 新幹線が整備されても「日本縦断」の時間が長くなった理由

半世紀近く前は3日がかり

 ところで、日本の鉄道が100周年を迎える直前の1972(昭和47)年9月、鉄道ライターの種村直樹さん(当時は毎日新聞記者)も最短所要時間を調べ、実際に旅行しています。所要時間は西大山駅から稚内駅に向かう「北行ルート」で45時間29分。逆方向の「南行ルート」は列車の接続が悪く、北行ルートより時間がかかったといいます。

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青函トンネルを通る北海道新幹線(画像:photolibrary)。

 この当時、東海道新幹線は開業していましたが、山陽新幹線・岡山~博多間と東北新幹線・東京~盛岡間、青函トンネルは工事中。東北新幹線・盛岡~新青森間と北海道新幹線は構想段階でした。このため、寝台特急と青函連絡船の深夜便を使うという3日がかりの旅になったのです。

 その後、山陽新幹線の全線開業(1975年)や東北新幹線の開業(1982~2010年)、青函トンネルの開通(1988年)、九州新幹線の開業などにより、鉄道の高速化が進展。西大山~稚内間の所要時間も40時間台から20時間台に縮まり、3日がかりの行程も2日間で済むようになりました。なお、以前は北行ルートの所要時間の方が短かったのですが、2000年代に入ると稚内駅から西大山駅に向かう南行ルートの方が短くなっています。

「はまなす」の廃止前に比べて遅くなったとはいえ、それでも半世紀近く前の1972(昭和47)年に比べれば、大幅に短縮されたのは確かです。徐々に高速化が図られていった一方で夜行列車が衰退したという、日本の鉄道の歴史も垣間見えてきます。

 ちなみに、途中で飛行機を利用するなら、その日のうちに稚内~西大山間を移動できます。空港までのアクセス交通なども含めた所要時間は2018年9月時点で約9時間です。

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