線路4本の複々線、東京と大阪のJR線でタイプが異なるワケ 時代と文化で違い

複々線は大きく分けると2種類 その特徴は

 複々線化の最大の目的は、各駅停車と優等列車(快速・特急など)といった速度の異なる列車を効率的に運行ことにあります。駅以外でも追い越しが可能になり、また通過待ちのために停車する必要がなくなるため、各駅停車、優等列車とも所要時間が短くなるのです。

 ちなみに一般的に、速い列車が走る線路を「急行線」、遅い列車が走る線路を「緩行線」といいます。

 既存の複線路線を複々線化するのは容易なことではありません。開発の進んだ沿線に新しく用地を確保するための莫大な費用と、運転を継続しながら線路を増設するための長期にわたる工事が必要になりますが、かといって利用者が倍になるわけではないので、鉄道会社の経営にとって非常に大きな負担となります。

 そのため複々線のほとんどが関東か関西のJR線、しかも国鉄時代に整備された区間で、10km以上の複々線区間を有する私鉄は、東武鉄道、京阪電鉄、小田急電鉄の3社に限られています。

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東急東横線は田園調布~日吉間が「方向別複々線」になっており、目黒線が乗り入れている(2009年10月、恵 知仁撮影)。

 複々線の配線は「方向別複々線」と「線路別複々線」の大きくふたつに分類できます。

 方向別複々線とは、同じ方向に進む線路が隣同士に並んでいるタイプで、JR西日本の東海道本線・山陽本線(草津~新長田間)や、私鉄の複々線区間の多くがこの構造です。同一ホームの対面乗り換えが可能で、急行線と緩行線を一体的に運用できるのが最大の利点です。

 線路別複々線は、通常の複線がふたつ並んでいるタイプで、JR東日本の複々線区間のほとんどがこれにあたります。東京~横浜間の東海道線と京浜東北線や、中央線・常磐線・総武線の「快速」と「各駅停車」のように、各路線が独立して運行しているため、実態としては異なる路線が2本並行していると感じるかもしれません。

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コメント

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8件のコメント

  1. >1時間あたり6本程度の運転が限界です。
    上下計6本/時? それとも片道6本/時?
    おそらく片道の意なのでしょうが、元広報マンなら一般読者にも伝わるような記述をお願いしたいです。

  2. 速杉ハヤトみたいな奴は多分常識

  3. 今迄「列車線」と「電車線」で理解してましたが、「急行線」「緩行線」なのですね。
    誤った知識を他人に与える前で良かったです。

  4. えーと国鉄時代の大阪周辺の複々線も「列車と電車」の分離だったんですが……。正確に言うと外側は「列車線」で国鉄本社の管轄、内側は「電車線」で国鉄大阪鉄道管理局の管轄。新快速は「電車線」を使って速達化を図ったもの(だから「急行や時には特急を抜く新快速」すら存在した)。国鉄最末期になって大阪鉄道管理局に列車線も明け渡したのでやっと新快速は列車線を走れるようになった。
    まぁ今でも北陸付近のダイヤが乱れて大阪付近のダイヤがほぼ正常だったら、払い戻しを眺めつつ「サンダーバード」を退避させる新快速が出てくるんだけど(笑)

  5. 確かに。関西に行くと関東の異常な混雑を思い出してびっくりします。
    これでもだいぶマシになったと思いたいですが、日々の混雑でなかなかそんな余裕は持てないですね汗

  6. 東京の様にラッシュ時2~3分間隔、昼間でも5分間隔程度で頻繁に走る路線で方向別にすると、ホーム上で乗り換える人に対応すると各駅で遅れが積み重なって列車の遅れが頻発する様に思います。混雑の激しい首都圏では、発車ベルが鳴っている急行電車に普通電車が到着すると、乗り換える人が急行に殺到し、発車出来なくなる、といったことが各駅で発生しかねません。又、それを考慮して急行が普通を待つと、同様に遅れが発生します。急行線と緩行線の時間をピッタリ同期出来ればいいかのしれませんが、各駅の混雑で電車が頻繁に遅れる首都圏では無理な話です。したがって、乗り換える時に不便に感じるかもしれませんが、全体で考えると混雑緩和と定時運行の方が恩恵は大きく、遠方の人は急行線、近郊の人は緩行線と振り分ける線路別複々線の採用は、建設を急いだことが原因とは言え、結果的に正解だったと思います。

  7. 貨物がどちらをはしっていたのか、貨物駅との関係はどうだったのか。記述不足ですね。

  8. 関西の私鉄 京阪電鉄 10㎞以上 複々線のはずだが???