ポルシェ博士のハイブリッド戦車とは また彼は如何にして変速装置を廃するに至ったか

ポルシェ博士といえば自動車史に名を残す技術者ですが、戦車開発にも大きな爪あとを残しています。しかもエンジン発電モーター駆動のハイブリッド方式を70年前に実現、量産にこぎつけました。ただしそのやり方は……博士の戦車愛、さく裂です。

トランスミッションが壊れるなら無くしてしまえばいいじゃない

 そこで、この厄介なトランスミッションの問題を解決しようとポルシェ博士が思い付いたのが「ハイブリッド方式」だったのです。電気モーターなら回転数0からフル回転までいくらでも自由自在に調節できて前進、後進も思いのまま、しかもトランスミッションそのものが必要なくなるのです。天才的な発想でした。ポルシェ博士は電気自動車も手掛けており得意分野でもあったのです。

 こうして作られたのが、「ポルシェティーガー」とも呼ばれるVK4501(P)戦車でした。左右2組の履帯を動かすため、ジーメンス・シュッケルトD1495a交流モーターを2基搭載し、電力を供給するためのジーメンス・シュッケルトaGV発電機1基とそれを動かすポルシェ101/1V型10気筒空冷ガソリンエンジン(320馬力)2台を積み込みましたが、この駆動ユニットは巨大で、車体の後ろ半分はエンジンルームとなってしまいました。

 こうして57tの重戦車ができ上がりました。外見は有名なヘンシェル社製の「ティーガーI」重戦車と似ていますが、転輪の配置が異なり、全長もより長くなっています。

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テスト中の「ポルシェティーガー」ことVK4501(P)。中央のコートに黒っぽい帽子を被った人物がポルシェ博士(画像:月刊PANZER編集部)。
貨車に載せられた状態の「ポルシェティーガー」ことVK4501(P)。砲塔を真後ろに回した上体のため、手前に写るのが車体後部(画像:月刊PANZER編集部)。
砲塔を後ろに回した状態で並ぶVK4501(P)。「ティーガーI」重戦車のような大きな排気管はない(画像:月刊PANZER編集部)。

 ところが天才的な発想も、作ることと使うことは別問題でした。まずポルシェ101/1エンジンが不調で発電能力が不足しており、495a交流モーターはもともと魚雷用でありトルク不足でした。現代のハイブリッド車とは逆に、エンジンで直接駆動する場合よりもエネルギー効率が低下するため燃費も悪く、サスペンションなども脆弱で悪路ではまともに走らせることさえできませんでした。

 要するに全部ダメということで、ドイツ陸軍は「ポルシェティーガー」を審査で不合格としました。

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コメント

2件のコメント

  1. >ポルシェ博士といえば自動車史に名を残す技術者ですが、戦車開発にも大きな爪あとを残しています。

    「爪あとを残す」は悪いことに使う語だと思うのですが・・・まあ考えようによっては爪痕か・・・

  2. エレクトリックと言って…ハイブリッドは雑種の意味、ギアと電気の両用だよ…。

    日産NOTE e-powerは純電気駆動だからハイブリッドを謳っていないよね…。

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