次世代の「無線式」信号、鉄道の混雑緩和や路線存続の決定打になるか

「無駄な距離」なくすと何が変わる?

 このような場合、軌道回路をより短くすれば、「無駄な距離」を縮めることができます。実際、駅の近くでは軌道回路を増やし、列車の間隔を詰めることも可能です。ただ、軌道回路の増設にはコストがかかるという問題があります。

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JR東日本のATACSは仙石線に初めて導入された(2015年7月、草町義和撮影)。

 これがCBTCなら列車の位置を無線通信で直接把握できるため、必要な車間距離は先行列車の走行位置とともに、常に動かすことができます。先行列車が進んだ分だけ、後続列車は同じだけ前に進むことができるわけです。これにより無駄な距離を取る必要がなく、列車の間隔をより詰めて増発や遅延防止につなげることが可能になります。

 目に見えない電波で列車を問題なく制御できるのか、不安に感じる部分もあるかもしれません。しかし、電波干渉や妨害があったとしても、電波が途切れたり改ざんされたりしないように通信する技術が確立されています。また、一定時間以上通信が遮断した場合は、非常ブレーキが作動するようになっています。

 CTBCは海外で導入が進んでいて、すでに実績のある技術です。日本では2011(平成23)年10月、JR東日本がCBTCの機能を含む「無線を用いた新しい列車制御システム」(ATACS)の運用を仙石線(宮城県)で開始。2017年11月には埼京線でもATACSの運用が始まりました。

 JR西日本もATACSをベースにした無線式の自動列車制御装置(無線式ATC)を、2023年春から和歌山線に導入する計画。JR以外の鉄道では、東京メトロが丸ノ内線にCBTCの導入を進めており、2022年度の稼働開始を目指しています。

 鉄道にもたらされた、目には見えない大変革に注目です。

【了】

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コメント

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8件のコメント

  1. >赤字幅も縮小しますから
    具体的にどの程度?
    赤字のうち何割が、信号関連なのか
    根本的に乗客の少ない路線なら焼け石に水、存続しやすくなるかも!なんて思考がお花畑過ぎる

  2. ATACSはCBTCじゃねーよ
    誤解を広めるな

  3. CBTCは移動閉塞みたいな書き方してるけど、ちゃんと規格(IEC62290)を調べてから書きなよ。どこにも移動閉塞なんて言葉は出てこない。
    実際、移動閉塞じゃないCBTCもあるんですけど?

  4. 軌道短絡に頼らなくていいシステム、ってことは車軸は要らなくなるよね。将来的には「4輪独立懸架」の台車が主流になる時代くるかも、と想像する。

  5. CBTCになると軌道回路が無くなるみたいな書き方してるけど、軌道回路を無くすかどうかは事業者次第。様々な点で誤解を招く記事です。

  6. 無線は信用ならない、有線と無線のLANのたとえだとそう見えるな

    • 実際信用ならないよ
      通信切れてる間に運転士が保安装置解放で走るとお終い

  7. 間違えた事言うと信通警察怖いからなあ(間違えるのが悪いけどね)。
    ちゃんとこの記事でも指摘米あって安心。