相鉄「東京直通」布石になった幻の「横浜6号線」 その名残、いまも港北ニュータウンに
関東大手私鉄で東京都心に唯一乗り入れていない相鉄が、まもなくJR東日本との相互直通運転を開始。相鉄線から新宿方面へ乗り換えなしで行けるようになります。実は1960年代にも相鉄線のエリアから東京に直通する新線の構想がありました。
茅ヶ崎から港北ニュータウンを経由
神奈川県内の鉄道路線を運営している相模鉄道(相鉄)は、関東大手私鉄のなかで唯一、東京都心に乗り入れる列車を運行していません。しかし、2019年11月30日(土)には相鉄・JR直通線(相鉄新横浜線の西谷~羽沢横浜国大間)が開業する予定。相鉄線からJR線に乗り入れて新宿方面に直通する列車が走ります。
相鉄線のエリアと東京都心を直結する鉄道の構想は古くからありました。しかし、そのルートは現在の計画とは大きく異なるものでした。
1966(昭和41)年、運輸省の都市交通審議会(現在の国土交通省交通政策審議会)は、横浜の鉄道整備基本計画(都交審9号答申)を策定。横浜市を中心とした地下鉄路線を5本整備し、相鉄線のエリアと東京都心を直結する「横浜6号線」の検討も盛り込みました。
大まかなルートは、東海道本線の駅がある茅ヶ崎を起点に、小田急江ノ島線の駅がある六会付近、相鉄線の駅がある二俣川、そして現在の港北ニュータウンを経由し、東京方面へ向かうというもの。この時点で詳細なルートや運営会社などは決まっていませんでしたが、相鉄のエリアを通ることから、同社が何らかの形で横浜6号線の運営に関わることになったと思われます。
実際、相鉄は二俣川駅から横浜6号線に近いルートで茅ケ崎駅のひとつ隣にある東海道本線の平塚駅(神奈川県平塚市)までを結ぶ鉄道新線の建設を計画。1999(平成11)年までに相鉄いずみ野線として二俣川~湘南台間が開業しています。横浜6号線が完全に実現していれば、相鉄の電車が二俣川から港北ニュータウンを経由して東京まで乗り入れていたかもしれません。
なお、東京寄りの二俣川以東も港北ニュータウンの具体化にあわせ、ニュータウン内とその前後の区間のルートの検討が行われています。日本住宅公団(現在の都市再生機構)の調査(1971~1972年)では、交通量を推計するためのルートが設定されました。
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