相鉄「東京直通」布石になった幻の「横浜6号線」 その名残、いまも港北ニュータウンに

既設路線への乗り入れで建設距離を短縮

 それによると、国鉄横浜線の中山駅から港北ニュータウンや国鉄南武線の武蔵新城駅、東急田園都市線(現在の東急大井町線)の等々力駅、東急東横線の都立大学駅、国鉄山手線の目黒駅を経由。現在の都営三田線に相当する地下鉄計画「東京6号線」の清正公前駅(現在の白金高輪駅に相当)に至るものとされました。

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横浜市営地下鉄のセンター北~センター南間は地下鉄2路線と横浜6号線のスペースが確保されたが、実際に建設されたのは地下鉄2路線と歩道だった(2009年10月、草町義和撮影)。

 また、1972(昭和47)年には、都市交通審議会が東京圏全体の鉄道整備基本計画(都交審15号答申)を策定。東京6号線と横浜6号線を一体化し、清正公前~港北ニュータウン間が東京6号線の延伸検討区間として盛り込まれています。

 しかし、港北ニュータウンと相鉄線方面を結ぶ区間は都交審15号答申には盛り込まれませんでした。しかも、1973(昭和48)年のオイルショックで鉄道の建設費が高騰。国や地方自治体の財政悪化もあって、地価の高い都市部で鉄道を建設することが困難に。横浜6号線の二俣川以東は実現せず、相鉄いずみ野線も湘南台~平塚間は事実上凍結されています。

 これに代わって計画されたのが、まもなく開業する相鉄・JR直通線と、2022年度下期に開業予定の相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線の羽沢横浜国大~新横浜間と東急新横浜線の新横浜~日吉間)です。東京都心に乗り入れている既設のJR線と東急線に直通する形にすることで新線の建設距離を短くし、建設費を抑えたといえます。

 ちなみに、港北ニュータウン内には横浜6号線用として確保された敷地がありました。一部の敷地は比較的最近まで空き地のままでしたが、いまは住宅地などに転用されています。また、横浜市営地下鉄のブルーラインとグリーンラインが並走している港北ニュータウン内のセンター南~センター北間は、両線の高架橋のあいだに幅の広い歩道が設けられていますが、この歩道ももともとは鉄道用地。地下鉄2路線に加えて横浜6号線のスペースも確保していた名残です。

【了】

※誤字を修正しました(9月4日9時45分)。

【地図】幻の鉄道「横浜6号線」のルート

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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