バブル期に生まれたJRの高級客車「夢空間」 20年の生涯で残したもの 内装担当は百貨店

いまも「夢空間」の車両に会える 保存されている場所は?

「ラウンジカーはソファの形状や壁面のガラスレリーフなど、3両のなかでも最も『オリエント急行らしさ』を感じた車両で、朝陽が差し込むときの車内の美しさが印象的でした。バーカウンターは、実質的には車販基地や売店のような使われ方でした。専属バーテンダーが立っていたら良い雰囲気だったのですが。

 ダイニングカーの食事は朝、夜とも北斗星と似たようなメニューでした。デラックススリーパーは、車内で仲良くなったご夫婦のご厚意で見学しました。『とにかく広い』という第一印象です。北斗星の個室ロイヤルの内装は重厚感のある色調だったので、夢空間の明るく開放感のある色調を新鮮に感じました」(鈴木周作さん)

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「夢空間北斗星」ダイニングカーの夜。青函トンネル区間のED79形電気機関車は、「ドラえもん海底列車」塗装(鈴木周作撮影)。

 設備は豪華絢爛、でも、食事などのサービス内容はコンセプト通りとはいかなかったようです。しかし、この経験をふまえて、JR東日本は1999(平成11)年から豪華寝台列車「カシオペア」を運行し、現在の「TRAIN SUITE 四季島」へ継承します。約20年間も運行した「夢空間」は、「次世代の寝台車の方向性を提案する」役目をしっかり果たしたといえます。そして、他社のクルーズトレインにも影響を与えたことでしょう。

「夢空間」の3両は引退後、すべて保存されています。ラウンジカーとダイニングカーは、埼玉県三郷市のショッピングセンター「ららぽーと新三郷」に展示。デラックススリーパーは東京都江東区のレストランに設置され、予約制の個室として利用されています。オーナーシェフがオリエント急行のシェフだったという縁だそうです。

【了】

【写真】「夢空間」に影響を与えた「オリエント急行」の車内

Writer: 杉山淳一(鉄道ライター)

乗り鉄。書き鉄。ゲーム鉄。某出版社でゲーム雑誌の広告営業職を経て独立。PCカタログ制作、PC関連雑誌デスクを経験したのち、ネットメディアなどで鉄道関係のニュース、コラムを執筆。国内の鉄道路線踏破率は93パーセント。著書に『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎刊)など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 端部の大型窓から機関車が丸見えになるところが面白い眺めだな
    できればクロコダイルみたくお洒落感のある機関車に牽かせてみたい列車