速く移動するだけが鉄道じゃない 青春18きっぷも活用した「鈍行列車の旅」のすすめ
「青春18きっぷ」で乗れる観光列車からトライするのも
鈍行列車旅は、気楽に途中下車ができるのも良い点です。同じく2015年の6月に山形県の左沢(あてらざわ)線に乗りに行った際は、あえて途中の寒河江(さがえ)駅で目的もなく下車。駅近くのスーパーマーケットで、大好きな「ご当地牛乳」と出会えた時はこの上ない喜びを感じました。別の時に「この辺でお昼にしよう」と下車したところ飲食店が見当たらず、食いはぐれた体験も幾度となくしていますが……。なお、ふらっと下車してしまうと、その後、数時間にわたり列車が来ない路線もざらにありますので、計画は立てておくことをおススメします。
最後に、いきなり地元色の強い「鈍行列車」に乗ることに不安を覚える場合は、前述の五能線を走る「リゾートしらかみ」などの観光列車をおススメします。窓が広く設けられ、週末には車内でイベントが行われるほか、風光明媚な千畳敷駅などで長めに停車してくれます。さらに快速列車であるため「青春18きっぷ」や乗車券だけで乗車が可能です。「リゾートしらかみ」のように全車指定席の場合は指定席券を買い足せば乗れます。広い意味では「鈍行列車」といえるでしょう。
このほかにも羽越本線の「海里」や小海線の「HIGH RAIL 1375」、山口線の「SLやまぐち号」なども快速列車に該当します。まずはこれらのような観光色を帯びた列車で各地の鉄道旅にチャレンジしたのち、本当の「鈍行列車の旅」へとステップアップしても良いかもしれません。そして余裕が出てきたら、「ゆっくり急ぐ旅」も体験してはいかがでしょうか。
【了】
Writer: 蜂谷あす美(旅の文筆家)
1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。
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