どうなる鉄道経営 五輪見据え投資増もコロナ禍で収入減 迫られる計画転換

新型コロナウイルス感染症の影響で人々の移動が減り、鉄道各社は決算で軒並み赤字を計上しました。投資の原資だった運輸収入が激減し先行き不透明な中、各社は大規模な計画転換を迫られています。今後はどうなっていくでしょうか。

絞り込まれた設備投資 名鉄は再開発計画を延期

 各社は例年、3月から5月頃にかけて鉄道事業設備投資計画を発表しますが、2020年度は計画の見直しにより発表が大幅に遅れ、京成電鉄や京王電鉄は開示が11月にまでずれ込みました。東京オリンピック・パラリンピックを見据えた投資のピークを2019年度に置いていたという事業は差し引いたとしても、各社とも総額を大きく絞り込んでおり、前年度と比較して東急は369億円減の250億円、東武は178億円減の219億円、西武は118億円減の198億円となっています。

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東武鉄道が導入した座席指定制列車「THライナー」。地下鉄に直通する(2020年6月、恵 知仁撮影)。

 ただ、設備投資計画の内容を見ると、ホームドア設置などの安全対策やバリアフリー対策、自然災害対策、連続立体交差化工事、老朽車両の置き換えなど、中長期的視点に立って必要とされる施策は着実に推進するといった印象です。一方で、ラッシュ時の増発や訪日外国人旅行者対応など当面、需要が冷え込むと見られる分野についてはトーンダウンが見られます。

 名古屋鉄道は11月10日、2027年度に開業を予定していた名古屋駅周辺の再開発計画を延期し、内容を見直すと発表しました。アフターコロナの社会像が明らかになるまで、今後しばらくは大規模開発の先送りやコストの削減など、設備投資の見直しが進むものと思われます。

【了】

【写真】需要な投資のひとつ「ホームドア設置」 現場の様子

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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