次期戦闘機開発 海外パートナー企業に関し歯切れが悪いのはなぜ? LM社はまだ「候補」

日本の次期戦闘機開発に関し、海外のパートナー企業がほぼロッキード・マーチンに決まりました。「ほぼ」というのは、まだあくまで「候補」だからです。なぜ日本政府・防衛省はそこまで歯切れが悪いのか、もちろん理由がありました。

なぜ「候補」なのか 開発開始へ向けLMに対し残された懸念点とは

 ロッキード・マーチンが3つの分野の設計支援を担当する候補企業に選定されたことで、次期戦闘機の開発は新たなステージを迎えることになりますが、あくまでも「候補」であることに、注意しておく必要があると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。注目は、防衛省が発表したインテグレーション支援候補企業選定のリリースに「今後ロッキード・マーチン社においては、輸出許可を取得するための米国政府との調整を本格化することになります」と記されている点です。

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韓国が開発したKF-X用のIRST(前方赤外線監視装置)の模型(竹内 修撮影)。

 たとえば韓国は、日本の次期戦闘機と同様、外国企業の支援を受けつつ同国主導で新戦闘機「KF-X」の開発に取り組んでいます。韓国のメディアは、ロッキード・マーチンは韓国が必要とする技術を提供することを約束していたと報じていますが、アメリカ政府はステルス技術など4項目に関し、韓国への技術移転を認めませんでした。あてが外れた形となった韓国は独自の研究開発の加速に加えて、イスラエルやヨーロッパの企業の協力を仰いでレーダーなども開発し、またステルス技術に関しては独自に研究を継続して、KF-Xの後期生産分に盛り込むことも検討しています。

 日本の次期戦闘機で必ずしもKF-Xと同様の事態が起こるとは限りませんが、高度な技術であればあるほど、ロッキード・マーチンの一存で技術供与や支援を行なうことはできず、アメリカ政府の承認が得られない可能性も皆無ではないことから、現時点で同社は支援「候補」企業と位置づけられています。

 アメリカの防衛装備品の輸出や技術移転に対するスタンスは、日本と韓国では異なっており、アメリカが日本の要求を承認しない可能性は低いと考えられます。しかし、次期戦闘機を2030年代前半に就役させるというスケジュールを遵守するのであれば、アメリカが開発した製品を次期戦闘機に組み込んだり、KF-Xのようにアメリカから支援を承認されなかった技術の独自研究と開発を継続し、生産途中でそれを組み込んだりといった「プランB」も、考えておくべきだと筆者は思います。

【了】

【写真】初めての短距離離陸テストに臨む開発中のF-35B

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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