なぜ品川駅に地下鉄が通っていないのか 実は「ある」? そして2路線目も?

2つの地下鉄を品川に延伸する構想も

 京急は開業からしばらく国鉄品川駅から離れた場所にターミナルを置いており、都心に向かう利用者は近くを走る市電(路面電車)か、品川駅まで歩いて国鉄に乗り換えていました。1933(昭和8)年にようやく国鉄品川駅に乗り入れを果たすと、品川で山手線や京浜東北線に乗り換えて都心に向かえるようになりました。

 しかし、東京はさらに拡大し、また地下鉄の整備が遅れたため、山手線と京浜東北線の混雑はますます激しいものとなっていました。そこで京急の利用者が品川で乗り換えず、そのまま都心に直通できるようにと、地下鉄1号線を整備することになったというわけです。

 そんな品川に将来、正真正銘の地下鉄が開通するかもしれません。国土交通省の交通政策審議会が2016年4月に行った答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」の中で、2030年頃までに整備を目指す路線のひとつとして、南北線と都営三田線を白金高輪から品川まで延伸する計画が掲げられたのです。

 南北線と都営三田線は白金高輪~目黒間の線路を共有しているため、それぞれ半数の列車が東急目黒線に直通し、半数の列車が白金高輪で折り返しています。そこで、白金高輪止まりとなる列車を、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅まで延伸させようという構想です。

 コロナ禍により計画の行方は不透明ですが、高輪ゲートウェイを中心とする品川再開発が順調に進み、リニア中央新幹線が無事に開業した暁には、計画が具体化する可能性は十分あると言えるでしょう。

【了】

【延伸される?】品川駅を目指す地下鉄2路線

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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3件のコメント

  1. 白金高輪〜品川は誰がカネを出すのか、所有者は誰になるのか楽しみですね。
     国鉄的セクターが都市交通をも担ってしまうのは他の国でも見られることですが、日本ではその国鉄的なものや私鉄が交通需要を負担しすぎたので地下鉄ではない鉄道の輸送量が突出してしまったのですね。
     (同様にエネルギー原単位で日本の鉄道の成績がよいのは乗客が混雑を忍従しているからでしょう、こちらもコロナ後はどうなるかわかりませんが。)

  2. そもそも
    品川駅は品川区になく港区
    港区にある

    京急の品川駅南側にあるけど
    品川区の北側にあるから
    次の駅は「北品川」

  3. 確かに品川から
    渋谷や山ノ手内回り方向は
    ぐるりと遠回り、内側に行こうにも地下鉄が無い