鉄道業界の今後を左右?「山手線最後の踏切」廃止の理由 利便や安全性だけでない事情

思ったほど「開かずの踏切」ではない…

 山手線は日中もおおむね4分間隔で運行されるので、第二中里踏切は「開かずの踏切」なのだろう……とイメージするかもしれません。しかし実際に現地を訪れると、思ったよりも踏切は開きます。もちろん山手線の踏切ですから頻繁に閉まるものの、巷でいわれる「開かずの踏切」とは違う印象ですし、下がった遮断棹を無理やり押しのけて渡ろうとする歩行者を見ることはありません。

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第二中里踏切。許可を得て踏切に隣接するビルの屋上から撮影(小川裕夫撮影)。

 高頻度の運行ながら「開かず」にならない理由は、第二中里踏切の立地にあります。同踏切は駅のほぼ中間にあり、踏切からは駒込駅を視認できます。電車が駒込駅に停車している間、踏切は開いており、間もなく駅を出発するというタイミングで踏切が鳴り出して閉まります。各駅停車しか走っていないので、駅に停車中は踏切を開ける時間的な余裕が生まれるのです。このわずかな時間によって「開かずの踏切」になっていないのです。

 山手線には2005(平成17)年まで、池袋~目白間にも踏切がありました。こちらの踏切は山手線のほか、埼京線や湘南新宿ラインも通過します。そのため、第二中里踏切よりも頻繁に踏切が閉じました。そして、閉じている時間も長かったのです。このような事情もあり、池袋~目白間の踏切は優先的に廃止され、代替として跨線橋が架けられています。

 一方、第二中里踏切は以前から廃止が議論されながらも、いまだに現役で稼働しています。先述したように、同踏切は「開かずの踏切」とまではいえません。そのため、廃止の優先度は決して高くなかったのです。また踏切がなくなると、線路を挟んで南北が分断され周辺住民の動線が変化し、それが生活に支障をきたすことも想定されます。

【山手線唯一の踏切の場所】かつては隣にも踏切があった

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コメント

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1件のコメント

  1. 新交通システムの沿線と違って、山手線が走るところは計画都市ではないので外乱要因が多いですね。古いアパートに干してあった布団が突風で飛んでくるとか。ホームドアは半端なハーフハイトで線路を痴漢に逃げられたりとか。
     無人運転にするなら札幌の地下鉄や横浜羽沢の貨物線みたいにシェルターで軌道を覆わなければならないと思います。