JR東日本の駅で「のりかえ改札」消滅 JR西日本では増加のナゼ 進むキャッシュレス化

キャッシュレス化がはじまる鶴見線

 今回、鶴見線では鶴見駅のりかえ改札機の撤去とあわせて、各駅における自動券売機の取り扱いも終了します。鶴見駅をのぞき、線内の駅では切符の購入やICカードへのチャージができなくなるのです。

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鶴見駅に掲示されている鶴見線自動券売機取り扱い終了の告示(2022年2月、柴田東吾撮影)。

 鶴見線の各駅からの乗車にあたっては、Suicaをはじめとする交通系ICカードを利用するか、乗車駅証明書発行機で乗車駅証明書を発行する形などで対応することになります。

 結果として、鶴見駅を除く鶴見線各駅では現金の取り扱いがなくなり、キャッシュレス化が実現します。「IT・Suicaサービス」の拡充と業務効率化が目的のようです

増加するJR西日本ののりかえ改札機

 一方、JR西日本のアーバンネットワーク・近畿エリアの各路線では、ICカードとして「ICOCA」(イコカ)の導入が進められ、利用エリアが順次拡大しました。のりかえ改札の撤去を進めてきたJR東日本とは対照的に、JR西日本ではのりかえ改札機の設置が進行し、なかにはICOCAの導入に合わせてのりかえ改札機を設置した例もあります。

 たとえばJR神戸線(山陽本線)の兵庫、加古川、姫路の各駅、阪和線の和歌山駅に、のりかえ改札機があります。兵庫駅では、和田岬線とも呼ばれる山陽本線の支線が分岐していますが、終点の和田岬駅は無人駅のため兵庫駅で和田岬線の精算ができるようにしているのです。

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姫路駅に設置の姫新線・播但線とののりかえ改札機(2016年10月、柴田東吾撮影)。

 加古川駅では加古川線が分岐していますが、加古川線も無人駅が多く、鶴見線と同じようなかたちで加古川駅にのりかえ改札機を設けています。JR神戸線と加古川線の間で乗り換えを行う利用者の切符をチェックしているのです。

 姫路駅も同様な事情で、こちらは山陽本線から分岐する姫新線や播但線の利用者の切符をチェックしています。姫新線と播但線では2016(平成28)年3月から姫路方の一部の駅でICOCAが利用できるようになりましたが、これと合わせてのりかえ改札機が設置されました。

 和歌山駅では、阪和線と和歌山線などが接続していますが、2018年3月に和歌山線側へのりかえ改札機が設置されました。和歌山線内も無人駅が多いために、和歌山線の利用者に対して切符をチェックしています。なお、和歌山線の全線でICOCAが利用できるようになったのは2020年からです。

 このように、JR西日本では分岐する路線に無人駅が多いことから、のりかえ改札機を増やしているようです。

【了】

【写真】私鉄にもある「のりかえ改札機」いろいろ

Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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コメント

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2件のコメント

  1. 例えば西新井から表参道に行くときを考えると、ICカード乗車券なら実際の利用経路に拘わらず安い方の運賃が引き去られるので、押上経由半蔵門線に乗ってくると東武は減収だろう。できない理由はいくらでもあるだろうが北千住の東武〜東京メトロ間に中間改札を設ければある程度解決するのでは。

    • そこの部分に関しては東武の社員がテレビ番組で後でメトロのほうから計算して払われてるって発言してたので杞憂ですよ