運転士と車掌「同時にやると休む間ない」 東京圏で進む鉄道のワンマン運転 実際どうなの?
なぜワンマン運転の路線にはホームドアがあるのか
ただ自動運転とはいえ運転士は常に前方監視をし、必要に応じて非常ブレーキ操作などの手動操作を行わなければなりません。そこでワンマン運転対応車両の運転台にはドア開閉スイッチ、放送用マイク、空調操作盤など車掌業務用の設備が設置されています。
車掌の役割をそのまま代替できないものもあります。例えば車掌は駅進入、進出時に列車最後部から側方を監視しますが、運転士は自分より後方が見えません。そこでワンマン運転を行う区間では各駅にホームドアを設置し、ホームからの転落や列車との接触などを防いでいます。また乗降時や閉扉時は運転士が、ホームまたは車上に設置されたカメラの映像を運転席のディスプレイで確認しています。
ちなみに運転士は、ATO故障時など緊急時に対応するために月1~2回ほど営業列車で手動運転の訓練をしており、その際は運転士と車掌の両方を兼ねなければなりません。ワンマン運転を経験した運転士に話を聞くと「同時にやると休む暇がない」ということでかなりの重労働になるそうです。
さてここまでATOとホームドアを中心にワンマン運転の要件を見てきましたが、近年これらはツーマン路線でも普及し始めています。ホームドアは乗降客数が多い駅を中心に、JR・大手私鉄で導入が進んでおり、東急電鉄はすでに、軌道線である世田谷線を除き全駅に設置を完了。JR東日本も2032年頃を目途に、首都圏主要線区330駅(758番線)に整備する方針を示しています。
ホームドアを拠点駅のみならず全線にわたって設置すると、停止精度を確保するため運転士のバックアップ装置としてATOやTASC(定位置停止装置、停車時のみの自動運転)の導入が必要になります。するとホームドアの整備が完了した路線は自ずとワンマン運転の条件が揃うのです。
東急目黒線は2000(平成12)年の南北線・都営三田線との直通運転開始にあわせてホームドアを設置しワンマン運転を開始しました。つくばエクスプレスは新設路線の強みを活かしてホームドアとATOを完備し、2005(平成17)年の開業時からワンマン運転を実施しています。
二人いれば一人は乗客対応、もう一人が本部との連絡対応が可能。最悪、テロでも一人だと殺されたらジ・エンド😉