輸送船が秒で真っ二つ 米軍テスト中の新たな対艦用兵器の凄み 標的に“当ててない”!?

アメリカ空軍は2022年現在、対艦戦攻撃用の新兵器を開発中です。「クイック・シンク」と呼ばれるその兵器、既存のミサイルや魚雷、爆弾とは何が違うのか、元航空自衛官にも話を聞いてきました。

元自衛官が語る「クイック・シンク」の威力

 この仕組み、実は現代の魚雷の弾頭と同じものだといえます。現代戦における雷撃は艦艇に直撃しなくとも沈める威力を持っています。その理由は、艦底至近で爆発することで、上述したような効力を発揮するようにプログラムし爆発させることが可能だからです。

 近年の具体例でいえば、2010(平成22)年3月に起きた韓国哨戒艇沈没事件が挙げられるでしょう。沈没した哨戒艦「天安(チョナン)」は、後に引き揚げられましたが、船体は二つに切断されていました。

 ただ、ここまで高性能化した魚雷は、ゆえに極めて高価な兵器になっています。たとえばアメリカ製MK48魚雷の価格は1発380万ドル(約5憶5377万円)とか。なお、それを使用する潜水艦も、機動性という点では航空機とは比べものになりません。

「クイック・シンク」はそのデメリットを解消するために開発されている兵器であり、JDAMを流用することで導入コストを下げ、戦闘機から投下することで潜水艦と魚雷の組み合わせよりも素早く長距離の攻撃が可能となります。

Large 20221111 01
2022年4月に行われた「クイック・シンク」の試験映像。標的の輸送船の脇に着水し、バブルジェットによって船体がへし折れているのが分かる(画像:アメリカ空軍)。

 こうして見てみると、「クイック・シンク」は既存の対艦兵器と比べ、安くて強力な良いこと尽くめの新兵器といえそうです。しかし、さまざまな兵器やプラットフォームが入り乱れる現代の海戦では、物事はそう単純ではありません。

「クイック・シンク」の問題点について、航空自衛隊で装備品開発にも関わっていた元自衛官のhalt氏が、次のようにコメントしてくれました。

「バブルジェット効果で軍艦を沈めるのは、対艦ミサイルと比べて破壊力としては強大だと思います。軍艦含め船というものは、一か所に大きな力がかかり急激に持ち上げられた場合、その形状を保つほど強固には作られていません。ただ攻撃する側の戦闘機についても、2000ポンドという重量の兵器を搭載すると、機動性が大きく制限されてしまい、本来の軽快な動きができなくなります。つまり、重い物を積んだ機体は素早く動けず、迎撃されやすくなってしまうのです」

【画像】対艦新兵器「クイック・シンク」のアップ&海中に没した標的の輸送船ほか

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開