「俺の飛行機 エンジンは“スズキ”」 日本車エンジンの転用が米で大人気になったワケ “参入ぜひ!”

伸びしろ大きい航空エンジンに今こそ参入を!

 どの会社も航空機用に特化したECUと、自動車よりも大きめの発電機を使用しています。高価な航空ガソリンに代わり自動車燃料が使えるので維持費も安いのが特長です。価格は同出力の航空エンジンのほぼ半額。それでも100馬力の機種でおよそ200万円、150馬力の機種でおよそ300万円です。

 このように、アメリカではかなり知られた存在になりつつある日本車エンジンの飛行機への転用。しかし我が国の自動車メーカーは、自社製品が飛行機に転用されている様子を20年以上にわたり静観したままです。筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は、そろそろ各メーカーとも事業化を真剣に考えるべきではないかと考えます。

 アメリカの飛行機愛好家が積み上げてきた20年以上にわたる使用実績は詳細に分析して製品化に役立てるべきでしょう。

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ロータックス社の代表的な100馬力エンジンである「Rotax914」。現在生産中の2人乗り小型機のほぼ全てに採用されている高性能エンジン(細谷泰正撮影)。

 ロータックス社の足跡は教科書のごとく参考になります。実は、世界の小型機ユーザーは日本企業の参入を待っています。その理由は、日本製自動車エンジンの性能とロータックス・エンジンよりも高出力な150馬力から300馬力の分野をカバーできるからです。その出力は自家用機として手ごろな4人から6人乗りに適しています。

 ロータックス社が歩んだように、最初は認証なしで販売を開始して運用データを積み上げたのち、次のステップとして認証を取得する方法が現実的でしょう。認証取得後はメーカー製の完成機にも採用されることは間違いありません。

 一方、日本政府は新たな産業政策として未開拓の小型機市場に着目し、まずは日本企業がエンジンメーカーとして参入しようとチャレンジするのを財政面で支援すべきです。別にYS-11やMSJ(MRJ)などのように完成機を造る必要はありません。

 パーツ供給という形でも参入することができたなら、日本製航空エンジンが世界の空を羽ばたく光景を目にすることも夢ではないと、筆者は確信しています。

【了】

【スズキ、三菱、ホンダ…】ロータリーや水平対向も 自動車用を改造した飛行機用エンジン

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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