世界で2台のみ タイに残る旧軍「一〇〇式鉄道牽引車」は、魔改造で凄まじい出で立ちに
魔改造された姿に驚愕
一〇〇式鉄道牽引車は無蓋貨車2両を従えた格好で保存されており、貨車にはこれまた鉄道連隊が用いていた九七式軽貨車の台車が確認できます。この軽貨車は台車2台で1組。日本でも一部の鉄道会社が所有しており、車両工場の傍らにひっそりと佇んでいるのを見かけることがあります。車軸はスペーサーを用いて簡単に改軌できる仕組みで、鉄道連隊が駐留した各地で活躍した貨車です。
肝心の一〇〇式鉄道牽引車はというと、保存状態は決して良好ではありません。見るからに凄まじい出で立ちとなっているのです。後軸4輪が、鉄車輪を履いた鉄道モードの状態で保存されているのは本来の姿といえますが、前輪が車軸ごと存在せず、タイヤもありません。その代わりに九七式軽貨車の台車が1台、フロントシャシーに直付けされています。前輪があることが当たり前だと思っていただけに、初見したときは思わず「え!? ナニコレ?」と声をあげてしまいました。
ということは、すでに車軸ごと前輪を紛失して遺棄状態だったのを保存したのだろうか――でも、よくよくフロント部分の車台を見ると、取付台座のように改造されている様子。台車がきちんと回転するような構造に見えます。線路の曲線もクリアできそうです。
想像するに、クルマとして路上を走ることをやめ、鉄道車両としての役割を果たすため、あえて前輪を外して軽貨車を移植したと考えられます。もしそうなら、なんという魔改造ぶりでしょう。ちなみに日本で戦後に使用された一〇〇式鉄道牽引車は、世に出回っている古写真を見る限り、しっかりと前輪も存在していました。
コメント