74式戦車も愛用! 100年選手の傑作戦車砲L7 世界のスタンダードになったワケ

高威力なのにコンパクト、それが良い

 しかし1950年代に入ると、20ポンド砲ではソ連(現ロシア)のIS-3重戦車やT-54中戦車に対抗するには厳しいと判断されるようになります。イギリス陸軍上層部では、近い将来、より強力な仮想敵の戦車が出現すると考え、より高威力な新しい戦車砲を要求するようになりました。その開発条件は、20ポンド砲よりも強力で、将来的にも長期に渡って第一線で運用可能なことと、20ポンド砲搭載戦車(センチュリオン)の砲塔を、大改造することなく換装できる寸法と重量であることでした。

 こうして具体的なコンセプトが決まると、開発先としてロイヤル・オードナンス社が選ばれます。同社は、砲腔口径105mmでライフル砲を試作し、「センチュリオン」戦車に搭載して各種のテストを実施しました。1959年に完成し、L7と命名されたこの砲は、当初の予定通り、まず「センチュリオン」の20ポンド砲を換装するのに用いられました。

Large 230831 105mmgun 02

拡大画像

最初にロイヤル・オードナンス105mmライフル砲L7を搭載したイギリスの「センチュリオン」戦車(柘植優介撮影)。

 105mm砲L7は高威力でかつ信頼性に優れ、しかもコンパクトにまとめられているので新設計の戦車への搭載にも、既存戦車の砲換装にも、どちらにも適するという優れた長所を発揮します。そのため、当時西ドイツで開発されていた「レオパルド1」戦車に採用されたのを皮切りに、アメリカもM47やM48といった、いわゆる「パットン」戦車シリーズのアップデートに関わる戦車砲の換装に用いたのです。

 加えて、それらの後継として開発された当時最新のM60戦車シリーズにも用いたほか、日本(74式戦車)やスウェーデン(Strv.103)、イスラエル(メルカバ)、韓国(K1)といった国々も次々に採用したことで、105mm砲L7を搭載した戦車は世界中に広がっていきました。なお、L7を採用したほとんどの国では同砲をライセンス生産しており、なかにはアメリカやスウェーデンのように独自の改造を施している国もあります。

【後ろ向きに撃ってる!?】16式機動戦闘車や74式戦車の射撃シーンをイッキ見(写真)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。