20年越しの大人気!? フランス戦闘機「ラファール」需要増えすぎのワケ しかし強力なライバルも登場

アメリカの審査の厳しさとロシアへの経済制裁が追い風に

 ここまでの需要増の背景としては、アメリカ製の最新鋭機を購入するハードルが上がったことと、ロシアが2014年3月にクリミア併合を行った影響があります。

 アメリカが現在、売り込みをしているF-35は、ステルス機能を有する第5世代機ということで、機密保持のため購入先はアメリカの友好国であることが前提です。たとえ同盟国であっても、ロシア製の防空システムを使っているトルコなどは拒否されており、購入の基準はかなり厳しいものになっています。

 そのため、西側諸国と同盟関係のない第三国では、スホーイなどロシア製の戦闘機が最良の選択肢でした。しかし、エジプトはSu-35の購入に動いていたものの、ロシアのクリミア併合後、これを破棄し2015年2月に「ラファール」を24機購入する案に変更。インドネシアに関しても当初、次期戦闘機としてSu-35を11機購入する意向を示していましたが、2022年2月に「ラファール」購入に変更しました。

 これらは、北大西洋条約機構(NATO)を中心とした、西側諸国の防空システムとの互換性重視してのこととされていますが、クリミア併合以降に行われれている西側諸国の経済制裁により、ロシアから機体や部品などが滞ることを懸念しての決断だったともいわれます。

 ロシア製戦闘機の部品や機体の納入の滞りは、2022年2月に始まったウクライナ侵攻によりさらに問題となっており、かつてロシアと同じくソビエト連邦を構成していたカザフスタンやウズベキスタンに旧ソ連系機体の代替機の選択肢としてフランス政府が「ラファール」を提案するまでになりました。

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艦載機タイプの「ラファールM」(画像:フランス海軍)。

 ただ今回、増産を発表したものの“3年以内に機体納入”のルールが崩れかけている点と、強力なライバルであるロッキード・マーチンが製造するF-16の最新モデル、ブロック70の生産が本格化したということで、この人気は一時的である可能性もない訳ではありません。

【了】

【オシャレすぎる!?】フランス国旗柄の「ラファール」(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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